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「最高の教師 1年後、私は生徒に■された(第8話)」クラスメートの死によって、生徒たちがここまで心を変化させることがあるか?

先週の荒川良々の懺悔的な会見に続き、今回は芦田愛菜をいじめていた中心にいた加藤清史郎の懺悔の1時間だった。芦田の死という問題を2回続けて引っ張って大丈夫か?と思ったが、ドラマ的には前回同様にあまり見たことのない学園ドラマのシーンとして興味深かった。しかし、現実には加藤みたいな、自分軸がしっかりなくて、欲望を満たすためにいじめを主導するようなものが、こんな改心の仕方をするのか?という疑問がある。こういうドラマを見て、実際の教師たちがどう思うのかも気になるところだ。

大体、松岡が加藤の家を訪ね、親も介入せずに、こんな感じで話す機会を持てることはまず不可能だろう。松岡の生徒に対する態度が変わって、加藤に友人が松岡にわかりにくい加藤のことをなんとかしてほしい的にいうまではわかるが、こんな感じでしっかり生徒を追い詰めるというか、心の奥底に話しかける教師はいるのか?かなり新しい教師像としてこの松岡は語り継がれるかもしれない・・。

そして、次の日のホームルームが今回の見せ場である。遅刻してきた加藤が芦田に対してしたこと、文化祭で邪魔をしたことを吐露し、そして懺悔していく。これをする前に、クラスの皆が自分たちの感情の中で「そうであるだろうな」という世界を作って話してる場があるからこそ、この加藤の長い吐露するシーンが生きていくことも確かで、言葉一つ一つの紡ぎ方もそうだが、なかなかこの辺りの脚本は秀逸だ。

そして、ここで終わらずに、加藤は松岡と共に、芦田の母親、吉田羊に謝りに行く。いや、芦田自身に謝りに行くわけだが、遺影のない遺骨の前で泣きながら謝る前に、芦田が「加藤と友達になれるかな?」と言っていたという母親の話もなかなか胸に刺さる。そう、クラスが新しくなり、多くの新しい仲間を観察した記憶。そして、時間が経ってその印象が変わっていった記憶は私も持っている。ある意味、感情的な行き違いから、不幸が起きたことをこういう形でドラマにしていくのは、すごく重い話ではあるが、今回は、加藤の芝居もあってドラマは見事に有機化していた。これ、他の俳優では無理だったかもね。彼もこども店長から、随分と成長したものだと思ったりした。

そういう加藤の演技があるから、その後の、加藤と一緒にいじめをしていた者達が土下座する風景は必要なのかとも思ったが、まあ、このドラマは誰が松岡を殺したのか?という話である。こういう状況で犯人がわからなくなってくる感じがドラマとしては面白いとも言える。

先週、今週と、こういう話を見せられるだけで違和感を感じる人も多い気がするが、私的には、その内容はともかくも、そのドラマの構造に新しさを感じ面白かった。ドラマは、芦田を誰が殺したかの焦点に向かっているが、ドラマ的にどう処理していくか興味深い。

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