「ダブルチート 偽りの警官 Season1」警察官が詐欺師を詐欺で追い詰める話とは面白い
しかし、テレ東とWOWOWが提携してドラマ作るようになるとは、時代はまだまだ想定外のことを起こす。そのくらい、テレ東のドラマ作りはそれなりにアグレッシブだということかもしれない。ある意味、質にこだわるWOWOW のコンテンツの世界とシンクロしていけば、また変わった顔を見せていくだろう。
向井理主演のオリジナルドラマである。これがSeazon1で、その後にWOWOWでSeazon2がそうそうされるということか?だが、そこまで壮大なドラマでもない気がする。詐欺師の話だ。そして、詐欺師を懲らしめるために、刑事が詐欺師を騙して金を集め、被害者救済を行うという展開。だが、その主演の向井には、何かの過去を清算したいような事柄がありそうだ。そう、こういうあしながおじさんというか鼠小僧みたいな話は、その主人公の抱える過去が大きなパワーなって事件を解決していく。向井にどれだけ、そういう心が演じられるか?というところか?
冒頭、島かおり扮するお婆さんが、地方から来たという男に電車賃を1000円貸すという現場を見た向井は、それが詐欺だと勘付き、詐欺師に近づき、お婆さんの親族を名乗り、詐欺師を煽てるように1000円を奪い返す。詐欺師に詐欺して金を取り返す、デモンストレーションみたいなもので、このドラマはこういうことが続くということが想定できる、うまい初動。
そして、今回の本題。コロナで傾いた会社の融資金の取得を手伝うという名目で金を騙し取っている詐欺師、勝村政信の登場。まあ、勝村なら、詐欺師だと言われてしっくりくる(失礼)。というか、なんだかんだ言って、ドラマによく出てくる人ですよね。そして、何か胡散臭さがある役には重宝される。
騙されたのは、会社の社長(小林隆)とその娘の野村麻純。勝村の言われた通りに書類を作り、提出すると、確かに融資金の5000万円は入り、手数料1500万円を勝村に手数料として振り込む。そうすると当局から、提出された決算書が捏造されたものだの旨の通達があり、5000万円+1500万円払えという話になる。勝村は取り次いだだけだといい、いけないのは小林だという言い草。つまり、手数料をピンハネするために厳しい現実の人を詐欺する手口なわけである。そして、警察は小林を逮捕するも、勝村には手が及ばないという流れ。
そんな、小林を助けるというか、勝村をギャフンと言わせるために動き出す、警官、向井理。裏の顔として、クリーニング屋の荒川良々と組んで詐欺師として行動しているのだ。変装キットを色々取り揃え、金持ちに装飾して相手を騙す手口は、「クロサギ」に似ていたりもする。だが、相棒の荒川の危うさがあることがちょっと違うし、面白い。
しかし、詐欺をする奴らは何を注意するかということを考えれば、信用させるのは簡単というところか?本当にある組織の名を使い、その会社のロビーで打ち合わせする。そして、荒川にそこと関係する金持ちの役をやらせ、偶然あった様に装い相手を信じ込ませる。そこからは勝村をヨイショして、一気に、勝村が小林にやったのと同じ手口で金を騙し取る。しかし、奪い取る額7000万円と大きいですよね。そして、勝村が捕まったことで、小林への請求もなくなるが、勝村に払った1500万円は戻ってこないというところを、向井が補填するという話。
それほど、複雑な詐欺でもないので、見ているものにはわかりやすい。そして、金の貸し借りの話の中で、藁をも掴もうとする者にこういう詐欺をするのはそんなに難しいことではないだろう。昨今は、ネットの中の美味しい話は詐欺だらけである。そんな中で、こういうドラマを作ることには意味はあると思う。というか、昔からこういう人のために犯罪を起こす話はよくありますよね。だが、警官が詐欺師という設定は初めて聞くかもしれない。次回以降の詐欺の手口がどんなものになっていくかは楽しみではある。