「罠の戦争(第11話)」簡単に古い竹林は新しくはならないというラスト・・。
悪い政治家というのは、殺さない限り権力を持ち続けようとするものなのだろう。だから、昨年のトップの殺人事件は起こったとも言えるのかもしれない・・。しかし、諏訪太朗、ネコババしてたのか!それで草彅が永田町に戻って来れるようになるとは、この世は半分の悪い奴らの動きで暮らしが変わるみたいな皮肉。そして、このドラマは現代の政府の在り方に対して強いメッセージにはなっていた気がする。そんな綺麗事は通じないという方も多いかもしれないが、ここで最後に使われた政治家自らの配信という手はまだ誰も使っていない手だと思う。こんなことが起こる時代もすぐそこにある。今は、デジタルを使いこなす政治家がいないことで平常を保っているだけだ。だいたい、デジタル大臣がボケなのだしね。
先週、完全に周囲の信頼を失ってしまった草彅剛。彼の芝居の何がうまいかといえば、こういう微妙な心の風景をしっかり演技で表せるというところなのだろう。先週から、今週にかけての彼の最後の罠を完成させるまでの演技は流石という感じだった。
先週の最後から今回の冒頭で、杉野遥亮が草彅に対して、今まで復讐してきた相手と変わらないじゃないかと吼える。ある意味、この冒頭の意見は草彅の心が元の位置に戻ってくるきっかけである。そして、妻の井川遥から離婚を切り出され、そして息子の姿を遠目で見て、一つの決意ができたというところ。家族はすこぶる、彼にいいアドバイスを与えている。
そして、首相から小澤征悦の弱みを探し出せと言われ、それを追う中でも、自分がただの駒に成り下がっていることを確認していく中で、選挙違反の問題が杉野のルートから週刊誌ネタとして出てくる。この時点で草彅の心は方向転換をしているわけだが、そこを視聴者にはっきりわからせない脚本はなかなかうまい。そして、流れを変えるための記者会見を開きたいと首相に言う。
そして、会見、与えられた台本は全て嘘だと叫び、記者会見自体を中止に追い込む。実際の社会でこのくらいのことが起こらねば、悪い奴らは目が覚めないだろう。そして、草彅は事務所に籠城し、個人配信を始める。ここで週刊誌記者の宮澤エマが協力しているが、マスコミがこう言う反逆に加担する世の中なら我が国は絶対に良くなっていくと思う。首相の秘書に対し、自分の覚悟を伝えるところはなかなか圧巻でした。
そして、首相が辞意したら、また岸部一徳の子分が総理になるという、ズブズブのローテーション。これが日本の政治だと言わんばかり。政治家として死んだはずの岸部がニコニコして終わるのは、日本の在り方への強い皮肉である。本当に、今、リアルに上で偉そうにしてる麻生太郎をはじめとしたゾンビみたいな自民党長老そのものがこれである。
そこに、最後に片平なぎさを登場させ、草彅が抜けた選挙区に井川遥を後釜として送り込む。井川の今後が心配と思ったところで、小野花梨がきて、杉野も戻ってくる。そして、最後に政策秘書に草彅という布陣が成立する様は綺麗なシナリオだった。そう、誰が代議士として存在してもいいのだ。そのチームが明確な未来のために、良い国を作るために動けば、必ずや良い国ができていくということだと思う。
そんな、地下のマグマのような力を感じさせながらこのドラマはうまくまとめてあった。そう、農家に戻った?本田博太郎もきっと草彅を応援したりしているわけだ。なかなか最後に良いカットだと思った。
そして、草彅が杉野に、竹の花が咲いて全てが枯れた後に、新しい竹林の生命が生まれだすという話をするが、脚本家が言いたいのはそこだろう。全てがどうしようもなくダメになれば、そういう場は必ずや滅びる。一瞬、花が咲いて輝いたと思わせることがあったとしても、それは滅ぶための不穏な花でしかない。そして、全て無くなっても、必ずや地下に眠る我が国のマグマのような底力は、復活の狼煙を上げるはずだと・・・・。そこに罠が必要な社会はちょっと違うと私は思うが・・。
しかし、このドラマ、永田町に勤める多くの皆様の意見を聞きたいところですね・・。