「罠の戦争(第9話)」やられたらやり返せという文化がある限り日本の政治は成長しない・・。
正直言って、視聴者も草彅剛に少し憤慨してる向きもあるだろう。幹事長である岸部一徳を見事に幹事長の座から落として、結果的には敵が多くなり、なお、自分の道の未来が見えなくなってくるというパターン。最後に、田口浩正が彼に復讐するぞとばかりに現れるのはなかなかの画であった。そして、首をすげ替えた幹事長も岸部の言いなり、一気に八方塞がれる感じがおぞましいが、これが永田町と言わんばかりの絵図。面白いとは言わないが、さあ、どう、けりをつけるか?興味深くはある。
多分、こういうのが日本の政治の図式なのだろうと思う視聴者も多いはず。そんな利権と嘘がはびこる世界で、私たちの生活の基礎となる法律ができているというのは、なんとも辛い話であるが、ある意味、それが真実でしかない。そして、利権が強くなれば、影響力が強いから、あったこともなかったことにできるということ。利権者が「カラスは白い」と言えば、カラスは白いものになるといいうこと。
でも、ここで出てくる警視総監のように、一度、権力によって左遷のような状況で捨てられれば、本当のことを喋ってしまう。もちろんそのために金も動くであろう。そう、嘘はなかなか隠しきれない。でも、その嘘を暴いて、自分の復讐を遂げたはずの草彅が、他人のために事件の揉み消し工作に加担するという絵図。そのやり方に憤慨する週刊誌記者の宮澤エマ。週刊誌や新聞で腐敗する政治を追いかけるものも、ある意味、永田町のゲームのコマでしかない。だから、それを利用して、岸部一徳は、草彅を逆に追い詰めようとするのだ。
そして、その宮澤とバーでたまたま会う、小澤征悦もまた、彼に対してジェラシーが働き出しているのはわかる。そして、彼を持ち上げる首相の高橋克典も完全な味方ではなさそうだ。結果的には、あまり恨みに対して深追いしすぎると、しっぺ返しをくらうという話になってきたわけだ。
そういう意味では、先週、大臣も議員も辞めた片平なぎさのあり方が一番正しいやり方なのかもしれない。つまり、一旦、ゲームから降りるということ。そうすれば、復讐の追っ手はくることもない。まあ、嫌な噂は流されるかもしれないが・・。しかし、片平なぎさの今週の演技は、明らかに大臣としての演技とは違っていた。大臣としての妙な堅苦しさをなくした彼女の演技は、このドラマが、いや日本の政治が、様式美の中にある作り物ということを表しているのかもしれない。
ある意味、草彅は、復讐の標的に罠をかけて、それを成し遂げた中で、自分で自分に罠をかけ始めてるということなのである。いろんな方面から批判を浴び出す中で、彼の着地点はどこになるのか、最終回、楽しみではある。