「マイファミリー(第9話)」子供のタブレットの中という異次元を我々は何も知らない?
最後に、事件の動機が示されるアイテムが、誘拐された娘のタブレットだったとは、これはなかなか現代の隙間を描いているなと感じた。確かにこのネット社会、大人たちのPC、スマホ、タブレットなどは警察の捜査域にすぐに入ってくるだろうが、子供たちのスマホやタブレットなどは、事件性をあまり感じていないということはあるだろう。そして、やばいものの隠し場所としてはとても便利なのがその辺のツールだったりする。もちろん、それらは理性的な考えの中で作られたツールだが、子供たちの発想の中では何が行われるかわからない。ネット内で子供たちの独立国ができていたりもするのだと思う。よく、デジタルネイティブという言葉が使われることがあるが、彼らは、それが何だかよく理解しないままに、アイデアを考え使い込んでいくのだ。まだまだ、この社会何が起こるかわからないということだ。
このドラマ、最初の、複雑なまどろっこしい誘拐劇の連続は見ていて、少しイライラするところがあったが、ここにきての、最初の誘拐と最後の誘拐の繋がりかたを見ると、この、まどろっこしく、警察抜きで誘拐を収束させようとした結果が、迷宮入りとなった事件をまた浮かび上がらせ、犯人を動かしたということがあるのだから、脚本的にはなかなかとも言える。ドラマ的に10回に分ける塩梅がなかなか難しかったということもわかってくる。
ラスト前の最後の誘拐は、多部未華子。大人の誘拐というなかなか大胆な手口だが、こんなゲリラ的なやり方じゃ、犯人、もう捕まる可能性が大きいわけで、最後にどんな手を使ってくるのかということは興味深い。いや、タブレットを回収できれば、そこが犯人の着地点なら、この誘拐もそんなに引っ張ることもないのか?まあ、いろんな想像ができますよね。
そして、二宮は会社も解任になったわけで、家族として、リセットが行われるというのが、このドラマの大きなテーマなのだろう。現代のさまざまに壊れる家族、親子、夫婦という物が、「誘拐」という事象でさらに壊れていき、そこで、皆の思いの本質が見えてきたりする。そこのところに思いっきり刃を突っ込む感じの脚本が書きたかったみたいなものを、ここまで見てきて感じますよね。
そして、友人と言いながら、友人の娘を誘拐して脅すような男も今の社会の中にはいるのだろうと思う。思いっきり自己中心主義の人々が増えているわけだ。今のパンデミックもそういうものに対する警鐘と捉える人も多いと思う。現代社会と民主主義と、経済が人々の心をどんどん削っていく。それは環境破壊と同じことだ。そんな、社会批判を感じさせながら、どうラストに向かうのか?来週が楽しみである。