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「六本木クラス(第5話)」ダイナミックな復讐劇への転換のうまさ

先週までの小さな店の開店への展開から、どうやって大きく自分の店を大きくするのか?というところが、このドラマの大きな見せ所ではあったわけだが、そこのカラクリというか、転換点をなかなか心地よくドラマとして仕上げた回であった。

まず、金はあるのか?という疑問点に対し、竹内が、父親の死に対する保険金を獄中から運用していたという話。刑務所に訪ねてくる、1日だけ同級生だった、いじめられっ子の矢本悠馬。なかなかの的役である。彼をファンドマネージャーとして抱え込んだところから、竹内の復讐の図式が広がって行ったということなのだろう。そして、香川照之の会社の幹部である、稲森いずみに近づくことで、大きな見方を得ようとするわけだ。最近の稲森は、多種多彩な役を演じるが、どれも、とても迫力がある。こういう大事な役にあてがうにはぴったりな女優さんである。

そんなシーンの前に、香川照之が株の増資に走った竹内の店に現れるシーンがあるのだが、なかなかいつもながらに脂っこい香川芝居。でてくる唐揚げまでも油っこくさせる感じが良い。とにかくも、これが試合開始のゴングなようなもので、それが上に書いた、稲森とのタッグ成立につながる。わかりやすく、盛り上がる展開。しかし、鈴鹿央士が香川の息子だったことにどういう意味があるのだろうか?キーになる役ではあるのだろうが、謎なのが面白いところと考えよう。

そして、そこに至るところで、平手の竹内に対する心は、一気にスパークしだす。テレビ局とのオファーとかを取り付けたものの、香川サイドから取り消され、怒りも含め、一緒の方向に向いていくのがなかなか面白い。彼女自身も資産家である。そういうところが、竹内のためになるのか?敵になるのか?そういうパズルのつながりが見えてこないドラマ作りの面白さは、韓流に対し、日本のドラマが学ばなければいけないところ。昨今は、伏線云々いうかたも多いが、あくまでも、キャラクターの魅力を最大限に作って、ドラマのピースとしてうまく埋め込んで動かしていくこと。そう、机上のアクションが面白くなければ、ドラマは面白くならない。

そして、とても直線的な平手の恋に対して、新木優子の心のザワザワするような不安定感もまた、ドラマ的には面白い。明らかに、竹内に興味がある新木が、敵として彼から注目を持たせようとする心理的な面白さ。こういうのは、すごく梶原一騎的なSM嗜好みたいなものだが、これをまたどういうふうに増幅させ、帰結させるのか?とても興味深い。

いろいろと、バラバラに動いているように見えた、パズルが一つに繋がって、新たにステージに向かわせる感じ。連続ドラマとしては、とても大切な転換だと思う。次回、もっと動きがある流れを期待する!


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