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「Get Ready(第3話)」仇討ちの手伝いは人の道から外れないのか?
流石に少し流れを変えないとマンネリになると思ったのか。今回は、患者に接触するところからドラマが始まらないという流れになった。まあ、そんな感じに変えていかないと、この突飛な題材をワンクール続けるのはかなり難しいのはわかっているようだ。
患者は、娘を意味なく殺された杉本哲太。彼の命を助けて、出獄してくる犯人3人の仇討ちができるようにしてやるという、それだけでも荒唐無稽な話を受ける妻夫木。そして、3000万円というのは、余計な手術しているのに、今までの手術に比べ安い。一応、対価は払える範囲内としているようだ。
そして、仇討ちの相手が予定より早く出てくることになったので、杉本は手術をする前にそれを実行に移す。杉本にそれで刑務所に入られたら自分たちのビジネスの手術ができないとして、杉本を追って、殺されそうになった標的三人を死なないように処置するという面倒なことをする妻夫木たち。まず、この設定にかなり無理を感じた。
そんなことに対して、藤原は協力をするものの、松下奈緒は全く気が進まないようだ。これが正論だろう。松下は、こういう風に機嫌が悪い方が色っぽく見える。いっそ、こういうヒール役を与えたらどうだろうか?と思ったりした。
大体、仇討ちに共鳴してしまう妻夫木聡の本性はどこにあるのか?今までは、社会のためになるのか?というような論点で手術を引き受けていたようだが、この仇討ちはあくまでも個人の問題で社会問題ではない。もちろん、簡単に命を殺めるような半グレがいる必要はないというのはわかるが、・・・。最後に、生き残った彼らに1年で血管がブチ切れるような爆弾を埋め込んだというのが、まあ言い訳みたいな感じで着地したが、あまり爽快感はない話だ。そう、「ブラックジャック」はそれなりに義理人情にはあつい感じに描かれているが、ここの主役の妻夫木の心はかなり中途半端な感じがする。このキャラクターをどうまとめていくかが、今後のこのドラマを左右するということだろう。
しかし、傍に語られる、病院内の話や、なんかズッコケに描かれている警察の話がまたいただけない感じなのには耐えられなくなってきた。堤幸彦がこういうのも好きだというのは知っているが、ドラマ全体のバランスが崩れていっている。あくまでも、コミック的な空気感というのでドラマが構築されているのはわかるが、共感してシンクロできる部分が少ないのは困るのだ。
日曜劇場のターゲットして中年以上の人の心を捉えるみたいなのは企画としてあると思うのだけれど、その辺を失敗しているのではないか?この時間の前にやっている大河ドラマも、どうも演出が柔らかすぎる気がするのだが、日本のドラマシーンがどんどんそっちの方に流れていくのはどうなのでしょうか?このドラマも3回目まで見て、最後まで見られるか微妙な線に陥ってきたと言えるでしょう。