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「全領域異常解決室」黒岩勉が描く、超常現象を扱うドラマという期待感はある。
この間は、完全犯罪が可能な謎のウィルスの話を作った黒岩勉。今度は、超常現象を扱った話を描く。ある意味、「怪奇大作戦」みたいなものに興味があるのでしょうね。初回から興味が湧くように畳み込む脚本はさすがと言える。
ただ、主演が、藤原竜也と広瀬アリスというのは、彼が脚本を担当する割には、弱い印象がする。まあ、多くの日曜劇場を手掛けてる彼だからそう感じるのかもしれないが、そういうのは関係なしにドラマを楽しもう。
そして、今回話題になった「ヒルコ」という見えないものが、ドラマ全体の主役のようだ。それはそれで、別の超常現象みたいなのが出てくるのだろう。そう考えると、ネタには困らない世界という気もするが、ドラマとして面白いものにして、それなりに本当にありそうに感じさせながら構築するのはなかなか難しい。
今回の「ヒルコ」はフェイクだったわけだが、それを正当化するために、「モザイクスプレー」なり、現実にはないと思われる、監視カメラに映らないようにする仕掛けがあったが、この監視カメラがどこにでもある社会なら、そういうものがあったら面白いなと思わせるとことは好きではあるが、嘘はギリギリのところにしないと、逆に面白さが損なわれるので気をつけてほしい。
しかし、地下アイドルの推しが、彼を独り占めするために超常現象を利用して殺しをするとは、どうなのかな?確かに、マイノリティな推しの世界は、ファン同士も距離が近いだろうからそういうことはあるかもしれないが、こんなクソ面倒くさい殺しをするというのは、もう一つ説得力に欠ける気もした。
だが、本当の刑事である、ユースケサンタマリアが逮捕するのではなく、広瀬アリスが逮捕するからドラマ的には成立するのだろう。で、そのユースケ、実際の年齢もいってるわけだが、今までにないセリフの少ない顔で芝居する役。なかなか決まっていた。新しい老練な彼の演技が見られるかと少し期待する。
広瀬アリスは、どうしてこの部署に連れてこられたかは未だよくわからない。藤原は彼女の何かを知っていそうな気がするが、それが明確になるのはいつかというのは大事なところの気がする。霊感、ヤマ感、第六感的なものを何か持ってるのでしょうな。
で、この全領域異常解決室があるのが、神社の横のビルの地下というのは、なかなかそれらしくていいですね。そして、部屋の中も鳥居みたいな作りがある。変わったところというのをうまく見せた美術だ。で、主役の藤原が何者かもまだ明らかにされていませんな。陰陽師の末裔か何かか?まあ、神がかってるから「ヒルコ」に対峙できるのでしょう。
とにかくも、ハズレのない黒岩勉作品。それなりには楽しませてくれそうです。