見出し画像

「海に眠るダイヤモンド(第5話)」一島一家という言葉の裏にある差別感、疎外感、そういうものが今にどう残るのか?

ドラマは、この辺りで折り返し点。その最後に、一気に過去と現代を繋げる脚本家。そう、宮本信子が杉咲花であることが明確になる。ただ、現代の神木隆之介と血のつながりがないこともわかり、その過去の成り行きが気になる設定。つまり、ドラマはここからということなのでしょうね。

今回は、ストライキの話から。だいたい炭鉱という同じ仕事に関わって生きているものしかいない島で、労働者と管理側が闘うというのは無理がある。そして、そこには全国の組合の息もかかっているようで。結構、面倒臭い話だ。で、ストライキが終わった後で、清水尋也が管理側で隠れていたと罵られ、島民から疎外されだす。確かに気が荒い工員たちと対峙するのは大変な話だったろう。そこで、一人の工員、若林時英と清水が喧嘩になり怪我をする。

この若林が、後で池田エライザを博多から追いかけてきた男だとわかるわけだが、ある意味、外者がこういう争いを起こすというような仮定の中でこのキャラが作られている感じがする。今回のタイトルは「一島一家」。端島がそういうところだったということは、ドラマの風景を見てもよくわかる。そう、そういう点を解らせてからここに到達させるのは、見ている方としてはわかりやすい。

今回、最も素敵だったシーンはそういう清水への蟠りがなくなるように、國村隼が寄り添う場面だ。ここで、國村は「お前も家族だ」と清水にいう。そういう声がかけられることで皆が一気にその気持ちになるという難しいところで、國村の見事な演技。今回は、とても優しい國村さんでしたね。

そして、若林は池田を見つけ、殺そうとする。彼がこの島に来たのは、彼女を殺すという一択のためだったらしい。で、斎藤工がその現場を見つけ、助け、若林は海に捨てられたわけだが、この後、池田を追ってまだ刺客はやってくるのか?池田がこの島にいるキャラクター的な意味も「外者」ということではあるのだとは思うが、それが、ドラマをどう展開させるためのキャラなのかはまだよく解らない。

そして、ストライキ後に神木が杉咲と仲良くするシーンが度々出てきての、杉咲=宮本という結論が出る。で、現代において、端島にいた神木隆之介探しが始まるというシンクロは、とても興味深い。

ネットでは、このドラマ、視聴率はイマイチのように書かれてはいるが、私のこのドラマに対するここでの感想は結構な数、読まれている。まあ、軍艦島というものに興味があるかないかというところで、難しい題材ではあるのだろう。

しかし、野木亜紀子氏、端島のことについてどのくらい調べたのであろうか?今回のストライキの話なども結構な文書を見て書き上げたと思われる。まあ、良いドラマを書く脚本家は、自分の興味があるところに執念のようなものを持って対峙し、その結果、いろんな過去の魂があいさつに来るみたいなところがあるのでしょうね。ドラマ後半もとても楽しみです。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集