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「いちばんすきな花(第9話)」ひとりのアウトローと4人の友人たちの軌跡と奇跡
美鳥を演じる田中麗奈。この回を演じるのを見て見事しか思えない。そして、その若い時代を演じる女優さんたちと違和感を感じさせない演出も素敵であった。そして、この4人を結ぶ美鳥というキャラクターを作った生方さんも天才ですよね。というか、このドラマを書くにあたって、この美鳥の造形から始まってるのでしょうか?そう、この4人の集まる家のデザインは美鳥のものであって、そこに取り込まれる縁のある4人という描き方ですよね。そして、「いちばんすきな花」というタイトルが美鳥の口から出てきた。そういう言葉が出てくるということはもうクライマックスに入るということだろう。
今回は、紅葉のイラストが使われた本が出版されたところから。なんか、視聴者としても嬉しかった。後から出てくる高校時代の紅葉も合わせて考えると、彼、初めて他人に言える履歴ができた瞬間ですよね。人生の中で大事な時をこの4人で過ごせたことも奇跡なのでしょうね。だから、人生は面白い。
そして、ここから先週から続く、美鳥と4人が過去に過ごした日々が綴られる。ゆくえとの話では仲野太賀も絡んできて、結局、この二人は高校の時から友達でしかないことがよくわかる。そして、美鳥も一緒にカラオケに進むが、そのシーンは出てこない。まあ、特に歌以外の会話はないような気もするしね。
しかし、今回の美鳥との回想の中では、教師を仕事にして、補習で紅葉に絡んでるところがいちばん面白かった。舌打ちして生徒と話す教師という絵図はなかなかコアであり、それを田中麗奈が見事に演じ切っているのが素敵だった。というか、ここの田中だけが、他のシーンで他のみんなと絡んでるシーンとは少し違っていた。そして、ここでも、友達についての講釈を紅葉にしている。紅葉が友達であるという子たちは友達ではないと見抜いている美鳥。つまり、美鳥の過去にヤンキーな部分を入れているのはここに繋がる感じなわけだ。そう、ここまでバラバラに語られてきた美鳥の過去がこの回で見事につながってきた。そして、彼女が4人の友達だったことが奇跡であると思わせながらも、ここにきて必然みたいに思わせてくる脚本はやはりただ者ではない。
美鳥は5人で一緒に自分が作った家で食事をして、この家が4人にとって大切な部室のようなものだということはよく理解しただろう。多分、最後に田中はこの家に帰ってきて塾を開く流れだとは思うが、そこまでにどういう流れがつくられるだろうかはかなり興味深い。皆が、そのラストに納得した上で未来に進むと思えるからだ。
そして、男女に友情は成り立つか?という課題にもなんらかの回答は出されるのだろう。最初に4人は、二人でいるのが苦手ということから入ってきたが、今回、美鳥は、私は二人で話す方が楽的なことを言う。多分、美鳥が脚本家に近い役であり、ドラマの答えみたいなものも彼女が出してくるような気もする。4人の間では、少し恋の芽生えも感じますものね。そう、恋というやつは友情からも勝手に生まれますから・・・。
しかし、ここにきても見る者に色々考えさせる濃厚さはお見事です。そして、田中麗奈の予想以上の存在感に、圧倒された回でした。