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「イン・ザ・ハイツ」暑い真夏が舞台のミュージカル。映画館で祭りに参加しに行こう!

あまり情報を入れずに観にいった。最近は予告編を観てみたいかどうかを決めているようなところがある。ハリウッド映画に飢えていて、ミュージカル映画に飢えていたというのもあり、まずは劇場に。もう少しこじんまりとした映画なのかと思ったら、なかなかの大作。ニューヨーク、、ワシントンハイツを舞台に繰り広げられるイスパニア系の移民の人々の人生と故郷への想い、そして民族の継承的な強い思いを感じる一作だった。

143分という長丁場ではあるが、流れる音楽とダンスに包み込まれる感じは久しぶりだった。映画館の音響で見るべき映画だし、大人数のダンスシーンも大画面だからこそ映える。ほぼ、中弛みなしで、私たちをビートに乗せてくる感じは時間を忘れさせるハリウッドミュージカル映画である。

日本人にしたら、ニューヨークのイスパニア系の移民の本質みたいなものはわかりかねる。私も「ウェストサイドストーリー」のイメージくらいしかない。でも、違法移民もいれば、近場でも多くの迫害を受けることもあったりする。だからこそ故郷を思う心もある。でも、この街は私たちの街というようなテーマ性の映画であり、都会人が故郷としての街のコミュニティーを愛する話だと考えたら、ちょっと親近感が沸いたりした。

そんなことよりも、個々のキャラクターがその心情を見事に演じながら、ミュージカルとしても緩みなくスクリーンから前に前に来る感じがたまらなくよかった。

役者としては、ニーナ役のレスリー・グレイスがとても美しく印象的。彼女が恋人のコーリー・ホーキンズと、ビルの壁で踊るシーンは、グリーンバックを使っての合成だが、なかなかシュールで美しいダンスシーンだった。しかし、電車に乗ってまた大学に帰っていくシーンは日本映画みたいでしたな。

主役のウスナビを演じるアンソニー・ラモスは、ブロードウェイで活躍している方のようで、いろんな面でキレが良い。そして、ラストのお父さんとしての姿もなかなか良きでした。

あと、好きなのは、アブエラというおばあさんが死んでいくところ。その夢のシーンなのだろうが、列車の中で繰り広げられるダンスシーンはなかなか圧巻であり、印象に残る。死に際の脳裏をミュージカルシーンに仕上げるというのはかなり難しい気がするが、見事にやってのけている。

この話、この地域の真夏の停電というのが一つの重要なシーンなのだとは思うが、あまり観終わった後にその辺りは印象に残らない。まあ、電気のパワーがないなら、私たちがパワーを出しましょう!という感じなのでしょうがね!

そう、もう毎日が前が見えない状況の2021年真夏にあって、凄い気持ちよく音楽とダンスを浴びられる映画です!パワーが出てきます!ただ、こっちまで踊りたくなってしまうのが曲者なのですが、まあ、陰鬱と部屋に籠るしかない皆様にはぜひ、劇場に足を運んで気分一掃していただきたい一作です。



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