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「弁護士ソドム」詐欺加害者専門の弁護士だからこそ、詐欺師を追い詰められる面白さ

この単純なタイトルだけだと、なかなか視聴率は取れない気がするが、テレ東のドラマとしては、かなり面白くなっていきそうな作品。主役は福士蒼汰。彼は詐欺加害者の専門弁護士で、詐欺師たちを勝利に導くことで有名だという設定がまず面白い。まあ、今までの司法ドラマだと、人権弁護士か、金目当ての勝利だけが欲しい弁護士かというところだが、これは、完全に詐欺師という悪人の味方として存在するというのがミソである。

そして、初回の2時間スペシャルの前半は、人権弁護士の玄里との対決を通じて、その面の顔を描いていく。結婚詐欺と住宅リフォーム詐欺という2種類の詐欺が出てくるが、どちらも明確な証拠が出せないことで福士蒼汰が勝利を勝ち取るという筋書き。対抗する玄里があたふたして何もできないのが他の司法ドラマとは違うところ。つまり、福士は詐欺師の味方であるということを世の中に広めるためにこういうスタイルをとっていることが、後半でわかってくる。そう、ドラマの初回では玄里は、裁判をやることで振り回されているだけ。とはいえ、彼女、これだけ露出が多い役も珍しいから、今後の演技に期待というところ。

で、後半は、その福士自身が、弁護士した詐欺師の池田成志から詐欺で奪い取った金を逆に詐欺で奪い返すという展開。初めは、何が始まったのかよくわからないし、福士の部下である、山下美月と加藤清史郎が何者なのかもよくわからないが、脚本的にはわざとそうすることで、福士の存在の本質を視聴者にわからせていくわけで、流れとしては面白かった。

山下美月、最近、いろんな場面で使われてきたが、色仕掛けする女と家を売るお婆さんみたいな極端な二役を見事に演じていた。こういう役も初めてだろうが、今後、何に変装して詐欺師を助け、詐欺師を騙すのか楽しみなところ。加藤も、今までは真面目な青年の役が多かったが、ここではよくわからんものを着ている、コミ障のハッカー。これも、新しい感じで期待はできる。

話としては、福士は詐欺師を弁護して勝たせた後で、その詐欺師を騙し、取られた金を全て取り戻すというドラマなわけだ。詐欺被害者は金が戻ってくれば問題はない。そこに警察も介入してこない話になるという展開。

そして、福士がそんな面倒なことをやっているのは、人権弁護士であった母親が死んだ事件が自殺だということに納得せずに、母を死に追いやった人物を探すために詐欺師集団を当たっているという裏事情。つまり、詐欺師を追い詰めて、その事件の真実を掴むためにこんなまどろっこしいことをやっているというわけだ。このドラマの構造は何か元ネタがあるのかもしれないが、私は初めて知った流れ。すごく興味深い。ここから、どのように最後の犯人に辿り着くか、面白そうではある。

で、その殺された母親役の高岡早紀さん。いつもは、どちらかというと妖艶な姿で出てくることが多いのに、今回は弁護士らしく化粧っ気のないすっぴんな姿。よく、こういう役を受け入れたという感じがした。まあ、役者をこういう方向に仕向けさせる脚本になっているのかもしれない。他の役者の動きを見てもそんな気がする。今期のドラマ、ほぼ出揃ったところだが、こういうドラマに化けて欲しい私である。

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