「下剋上球児(第8話)」 格上チームと戦う上でのスタメンの変更という変化球
ラスト、鈴木亮平と松平健が久々に対峙するところで次回へ。これから始まる死闘がどんなものになるのかワクワクを次回に持ち越すには最高のシーンだっただろう。
前回ベスト16になったところから、ひと試合端をって今回は準々決勝のシーンだけが流された。だが、それはあくまでも星葉高校との前哨戦のような扱い。そこで、星葉がビデオを回して偵察してるのが見られる。格上のチームは確実に勝つために根性よりもデータの時代なのだろう。確かに、高校野球で勝ち上がるチーム、それも下剋上を目指すようなチームは、投手力が頼りのワンマンチームが多かったりもする。そして、控えの選手が薄めなこともある。そういう意味で、越山高校は投手さえ崩せば簡単に勝てるチームだと思われてる節がある。
それがわかってるから、この準決勝のスタメンが大事ということなのだろう。その前に、この師弟が戦う因縁の一戦を何故に準決勝にしたのだろうか?別に決勝で問題はないと思うのだが?次週は9回目だから、多分、甲子園への出場が決まると思うのだが、そこでの決まる瞬間の決勝の扱いもどうするかは興味深い。
そして、この準決勝前に何故に黒木華を病院に送ったのか?確かに練習で当たったボールという伏線はあったが、そうする意味が今ひとつわからない。多分、彼女は甲子園には戻ってくるとは思うが・・。
そして、大一番での、先発交代という変化球に戸惑うのは、エースの犬塚だけではなく、控えの根室もだろう。この回での二人のセリフはあまりない。犬塚の方は小日向が喋りすぎて何もいえないし、根室は元から話さない感じだ。その分を姉の山下美月が代弁しているような感じ。次回のスタンドでの山下の姿も楽しみだ。
そして、勝ち上がって、謙虚さを失うような選手がいるような描き方もなかなかリアルだと思う。所詮、まだ高校生が多くの大人たちから注目され、目の前に優勝という文字がちらついたら、怖さと威勢の良さが混同するような感じになってくるはず。その空気感を短い間に描き出す脚本はなかなか。というか、回が進むごとに違った空気感が漂う感じは演出も含めすごいものがある。
そんな中での最終戦である。次回を期待せずにはいられない。あと、井川遥をはじめ、子どもたち、そして会社の人たちと信頼関係がしっかり戻っている感じを数シーンで見せていく様もドラマ的にはかなり優れている。
ということで、あと2回と思われるドラマ自体に不安はないが、ここから、準決勝、決勝、甲子園とどのような配分で消費して行って、最後にどんな風景を視聴者に見せる気でいるのかは楽しみだ。とにかくも2023年のテレビドラマを締めるような感動を期待しています!