「わたしの宝物（第3話）」松本若菜だけが真実を知ったままにどこまでいくのか？

最初にさとうほなみと深澤辰哉が日本に戻ってきたことで、今回のラストは予想できた。だが、この時に、子供の父親が深澤だと知っているのは松本若菜だけ。心を殺して黙っていれば何も起こらない。だが、これはフィクションのドラマである。ここからは、その秘密がどうバレていき、展開がどこに向かうのかを楽しむドラマなのだろう。

その展開を作るために、今回は松本の夫である田中圭の心の変化が起こるのが予想以上に早かった。まあ、子供を可愛いと思うのは生まれてすぐのことだから、これでいいのだろう。だから、部下から後ろ指を刺されてるところを最初に出し、子供に向き合い、名前を考えることで心の整理をしだす。そして、母子手帳の間に挟んであったしおりを見て「栞」と名付ける。しおりは松本と深澤との思い出と知らずにそういう名前をつける田中。こういう皮肉な感じは好きだ。

そして、育児に対しても積極的になっていき、スマホの待受を子供の写真にする。それを、仲良くなった北村一輝にからかわれる。まさに、子供のおかげで幸せというものを思い出した感じ。そして、お宮参り。田中は仕事で来られないはずだったのに、松本の母の多岐川裕美を連れて神社にやってくる。ここから写真を撮る田中は、前回までの彼と180度変化した彼だ。まあ、笑顔をあれだけ出さなかった男がこうなるとはちょっと極端ではある。

そして、絶対服従だった、上司の安井順平に、「プロジェクトから外してくれ」という意見をする。ある意味、どうにでもなれという感じだろうが、こういう反抗は重要なことだ。そうしないと、上司に上手いように使われてしまうし、減棒はあるかもしれないが、まあ、それなりに使える男をクビにはできない日本社会である。そして、パワハラ、モラハラとうるさい昨今、ある意味、上司の方が弱い立場にあるということだ。

そして、子供の定期検診にもついていく田中。その帰り、松本は図書館に行き、深澤に再会する。まあ、わかりやすい脚本である。田中の思いの外すごい変容以外は、至ってよくあるストーリー。死んだはずの深澤が生きていたことについて、細かく語られなかったのはちょっと物足りなかったが・・。でも、彼を好きなのだろうと思われるさとうの芝居がなかなかせつなくて良かったですね。彼女的には男を奪う役が多い感じだが、ある意味、深澤とそういう関係になって、松本の心を乱す役でもあるのでしょうね。

ここまでで、起承転結の起が明確に終わった感じ。さあ、松本若菜がどういう行動をとっていくのか興味深いです。