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「たとえあなたを忘れても(第8話)」記憶の中に素敵な経験が残るということの素晴らしさ・・・。

最後に出てきたテレビの周囲に貼られた写真には、結婚式のような写真もある。ということは、この萩原の目覚めはある意味先取りのラストシーンなのだろうか?このシーンが出てくる時点で、ハッピーエンドとはいかないのだろうなと思う。いや、ある意味、ここで記憶がどうあろうと堀田真由の愛情がつながっているなら、それはハッピーエンドと言えるのかもしれない。

今回は、前回の記憶を失くした萩原利久がキッチンカーで堀田真由と会って、堀田が「また記憶を失くした」ことを知る場面から。だが、萩原を愛する堀田は、今度は無理矢理にキッチンカーを手伝おうとするが、萩原は彼女の写真も捨てようとするし、お金を渡してこないようにしたい感じ。

後で、お母さんの壇れいが忘れたハンカチを届けにいくシーンがあるが、ここでは確実に記憶は戻っている。そして、今回の記憶喪失は全て萩原の芝居だったとも考えられる。自分が記憶を失くすかわからない中で、堀田に対して気を遣った結果が今回の行動だったと・・。そう思った方が、最後の雨の中の展開はわかりやすい。そして、堀田からの強い愛を言葉で伝えられることで、萩原はまた堀田に向き合うようになる?この辺りは、昔よくあったような少女漫画的展開だが、美しい画と音楽で見せられると、かなり刹那くなりますよね。そして、雨の中の抱擁は艶っぽい。

今回は中間に、畑芽育が昔の恋人に声をかけられお茶をするというシークエンスが出てくる。畑が全く記憶にない恋をして、花火大会に行ったり、遊園地に行った記憶を話され、その時の写真まで見せられるが、それでも記憶が戻ってこない苛立ちもあるだろうが、もはやここでの畑には辛すぎる会話だったということだろう。相手の男は優しくていい人だったのが救いであるが、だからこそ辛いとも考えられる。

この話を堀田にするわけで、堀田の心もそれを聞いていろんなふうに彷徨ったということはあるだろうし、それを聞いたからこその最後の抱擁に至る展開が美しく感じられる。脚本はストレートな表現だが、演出としては丁寧に綺麗に描こうとしていることがよくわかる回だった。

そして、ラストを見る限り、二人の愛はこの勢いで成就するのだろうが、私的には、ただのお涙頂戴的な展開はあまり見たくない。萩原が死に至るまで健やかに暮らせる環境と、それを見守ることのできる堀田真由がいて、世の中、記憶がなくなっても、今が幸せならいいじゃない的なメッセージがあればいいかな?私がラストを描くならそんな感じで描くのですが・・。

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