「ペンディングトレイン~8時23分、明日 君と」SF的なものより、人間の可能性みたいなものがテーマか?
「金曜ドラマ」、前回の幽霊ものから、今度はタイムリープものらしい。昔のように、人間の日常を単純に描いていく大人のドラマ的なものでは視聴率が取れないということなのだろうか?テレビドラマが、どんどん、アニメ的な企画に陥っている感じがするのは、やはりテレビの危機的状況を表している気もする。そして、ストリーミングなどへの2次使用時でまた見てもらえる内容ということもあるのだろう。そう考えれば、国内での敵はアニメなのかもしれない。
多人数の群像劇だが、山田裕貴の名前がトップに上がり、そのサイドに赤楚衛二、上白石萌歌という並び、まあ、若手の中では精力的な仕事をもらっている三人なのはいいだろう。だが、周囲がなかなか賑やかすぎる感じがする。こういうパニック群像劇みたいなものは、無名の新人でも役所で前に出てくることがよくある。それは、無名ゆえにキャラクターを光らせたりするからだ。そう、考えると、このドラマ、傍の役者がうるさすぎるくらいよく知った顔であることが少し問題かも?と思ったりする。この間までパリでデザイナーだった松雪泰子や、今、朝に北三陸鉄道にいる杉本哲太がここに出てきたり、古川琴音や井之脇海、大西礼芳などの顔も主役を最初から喰ってくる感じ。そんな中で、若い、日向亘、片岡凛などは劇中で目立てばもっと前に出てくるだろう。ドラマスタッフはこの役者陣をうまくまとめていければ成功と言われそうな気もする。
話は、多分、秋葉原に向かっている、つくばエクスプレスが緊急地震速報が鳴るとともに2両だけ消えてしまうという話。その2両は砂漠や崖に囲まれた中に不時着?してしまう。そこから始まるサバイバル劇というところ。そして、初回から杉本哲太がスカイツリーやまだできていないビルを発見し、ここが日本であり、30年後の未来であることがわかる。まあ、これは「猿の惑星」のパクリですね。それを初回に持ってくれば、オマージュになる?初回の最後にこの話がタイムスリップ劇だということはわかった。そしてどうする?という話だ。
脚本は、「恋はつづくよどこまでも」や「着飾る恋には理由があって」など、最近のTBSドラマでは手堅く多人数の劇を紡いできている金子ありさ。まあ、彼女なら人間の交通整理はうまくいきそうではあるが、SFが描けるのか?という感じか。いや、初回を見る限りはこのドラマSFというよりは、現実にある人間模様、社会の問題点を、多くの人の内面を描くことによって表現しようとしているのではないか?という気がした。そして30年後に日本は世界は亡くなっているという終末ドラマを設定したと思われる。この辺りは、一つ舵を切り損なうと陳腐になってしまう代物。お手並み拝見というところでしょうか?
初回は、事故が起きて、消防士である赤楚衛二がスタンドプレー的に動き出すところから人間のギスギス感みたいなものが浮かび上がってくる。赤楚は今週、風間公親に刑事として認められたかと思ったが、やはり交番勤務になるのも嫌で消防士に転職したらしい。日本のドラマは底辺の広がりがない中で役者を回すので、見ている方の頭がカオスになってくる。もし、認知症の方でドラマ好きの方がいたら「風間さんはこの時空の混乱をどう解決するんだろうね」と期待してしまうかもしれませんな。
まあ、それは冗談としても、ここで赤楚が山田よりも目立ってしまっているのはどう変化していくのだろうか?山田もテイスト的には美容師風なファッションではあるが、中身は藍井先生のままのような気がしてしまうので、主役としてはもう一つ発言力高めていかないとダメなのでは?この辺り、脚本家は知ったことではないが、気にするとことはあるのだろうか?上白石は、彼女らしい優等生役。彼女、その辺りを捨ててかないとこれから女優の幅が広がっていかない気がしますけどね。
まあ、誰が出てるのか確認してるうちに初回は終わった感じでした。それだけで、ドラマファンとしては面白くはあるのですが、一つ気になったことは、この電車の中に高齢者がいないこと。昨今の高齢者時代の中で出勤時であろうと多くの老人を見かけます。この辺りも入れて欲しかったですな。もし、社会問題を抉りたいならその辺は必須だと思う。
これ、電車事故の話だから、ドラマによく使われる京王線とかでいく案もあったのでしょうか?「つくばエクスプレス」をメインにしたドラマは初めて見た感じもします。風景を変えるだけでちょっと新しい感じにはなっています。とにかくも、2、3回目の展開が大事な気がしますね。