「身代わり忠臣蔵」ムロツヨシの良き演技でなかなか色気のある忠臣蔵に仕上がったと思います!
原作・脚本、土橋章宏。監督、河合勇人の作品。ムロツヨシ主演ということで、予告を見てもコメディタッチの作品かと思ったが、ムロさんのそういうシーンは最低限に抑えられて、なかなかシリアスに向いた作品だった。原作者が脚本書いているので、目指す方向に持っていけたという感じはするし、吉良側から描く忠臣蔵は、結構新鮮ではあった。最後に、流石に大石内蔵助は命を絶つのねと思ったが、まあ、ムロさんの役の吉良考証の部分がフィクションであって、その人物がどうなろうとどうでもいいというストーリーでしたな。で、「考証」という名前が時代考証の「考証」ですよね。なかなか考えられている。
話は、松の廊下の話までは普通の忠臣蔵。それが起こるまでに、この弟の説明をちゃんとしている。ムロさん、2役はなかなか見事にこなしておりました。まあ、その後もなのだが、すごい芝居上手くなってますよね。そして、シリアス側とコメディ側の芝居の切り替えがすごくよくなってる感じがする。そして、シリアスな芝居のところで色気を感じられるようになりましたよね。つまり、見ていて安心。
だから、密かに恋する川口春奈とのシーンもなかなか良いのですよ。というか、この人、テレビの「大恋愛」で戸田恵梨香と恋人役になり、昨年の「どうする家康」でも北川景子と一緒になる役、もう、どんな美女が来ようと怯まない感じになってきましたね。そういう意味では、スターの器。
そして、大石内蔵助役の永山瑛太とのやり取りも、最後は泣ける形になってましたしね。で、吉原で橋本マナミと加藤小夏と一緒に遊ぶところもなかなかいい感じにまとめられていた。こういう遊郭遊びのシーンが品がいいのはこの映画の撮影現場が目に映るようでした。橋本マナミは子供も産んで落ち着いたのだろうが、この頃よく顔を見るが、女優としてよくなってますよね。そして、加藤小夏は今年の私的には推しであります。注目!
最初にムロと瑛太が友達になっていて、ムロが討ち入りをするのを知り、ムロが瑛太に身代わりの吉良だとばらし、その後に友情の出来レースが始まるというのは面白かったが、死んだ吉良が最後にとんでもないところに隠されていたのは、まあ予想外で面白かった。そして、とった首を吉良と赤穂で取り合うのをラグビーにしてしまったのもうまかったが、ラグビー時代劇は昔々の「木枯し紋次郎」を思い出してしまった。もう、時代劇はもっとぶっ飛んだことやればいいのですよ。この映画も忠臣蔵知らなくたって面白いと思うもの。
あとは、林遣都がムロの付き人みたいな感じで多くのシーンで出てくるのだが、今一つ目立たず、それよりも、清水一学役の寛一郎が目立ってましたね。昨年は「せかいのおきく」で時代劇やっていたが、なかなか侍姿に色気がありますよね。お父さんとはまた違った俳優になるだろうことは確かだと思います。
まあ、色々と役者も目立たせながら、河合監督、上手くまとめましたという感じでした。ラストシーンのツーショットが画になっているから、映画作品としては成功と私は思います。そう、私が川口春奈を良いと思った初めての作品かもしれない。
しかし、吉良側から見た忠臣蔵だと、こんなあっさりした感覚になるんだなというのも発見だった。そう、あっさりしすぎるから、アクのあるムロツヨシ主演が成功してるのでしょうな。