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「100万回 言えばよかった(第10話)」ドラマの残骸を回収をするためのエピローグ

こういう、どちらかといえば、ほのぼのした感じのラストを考えてこの幽霊ドラマは作られていったのだと思う。最後に、佐藤健が人間として復活して戻ってくるというのは、最初から考えていたことなのだろう。そう、見えない幽霊のままではドラマのタイトルも回収できないということだ。だから、佐藤が旅立つ前に「愛してる」という言葉を井上真央に連打し、そしていなくなる。ベタだがこれで良いのだろう。しかし、幽霊が旅立つ場所は海がいいというのは、納得はいくが何故なのだろううか?

ドラマとして、先週までのサスペンス要素を全て取り去ったのがこの最終回だ。先に何回も書いたが、幽霊の話とサスペンスが全く相入れないテイストの中で、どうも観ていて気持ちが入りきれなかったが、やはりサスペンス要素などない方が良いと、このラストをみてそう思った。

大体、佐藤が一旦、現実に戻ってくるということに何の論理も理由もない。だから、それが当然とするために、菊地凛子が亡くなった時も最後に一旦シム・ウンギョンに会えるように地上に見える形で戻って来させている。このドラマはあくまでもファンタジーである。だが、そのファンタジーをそれなりに観ている側が消化するために、もっとうまい嘘が必要だと思う。そういうところが全く練れていないのがこのドラマであった。だから、この最終回は、構造の壊れたドラマの残骸をなんとか手術して普通のドラマに見せるための延命手術みたいなものでしかなかったと私は思う。

だから、霊のままに残った板倉に、死んだ香里奈の友人と関係を持たせて、なんか必要だったねみたいに見せることをしたりする。もちろん、それがあったから、佐藤と板倉に縁があったということなのだろうが・・・。そういうのは、もっと前に伏線的に何かを見せておくほうがやはりいいと思ったりする。

そして、佐藤が戻ってきて、ハンバーグもオムライスも美味しそうに戻ってきた。やはり、話の途中で料理というフラグを全く使えなかったのは残念な限りだ。ここで出てくる洋食は、とてもパンチが感じられる。そう思うと、荒川良々も料理ができるように設定しておいた方が良かったのではないか?とも思ったりする。

そして、松山ケンイチも含めて3人で遊ぶ光景は楽しそうで良かった。しかし、松山は生前の佐藤を知らなかったわけである。だけど、霊として彼と知り合ってここまで仲良くなった感じなわけで、このシーンが必要でないとは思わないが、少し不自然さも感じる。でも、美味しいオムライスを食べた後だからいいのか・・・。

役者的には、井上真央の演技がもっとも良かったと思う。見えない恋人との会話みたいなものもうまくできていたし、やはり、この女優さんは独特の奥底にある色気みたいなものが出せる数少ない女優さんだと思う。派手さはないが、長く女優さんを続けてほしい一人である。

まあ、金曜ドラマ、昨年もこのクール、霊の憑依するドラマをやっていたが、もう、この手のものはあまり欲しくないかな?と思った今回のこのドラマであった。そして次クールはタイムスリップものらしい。昔のような硬質な金曜ドラマは作られないのだろうか?

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