見出し画像

「風間公親〜教場0〜(第11話)」感情を暴力で表現し、言語で指導できない教官が部下を育てられるはずもない

この項のタイトルとして書いたことが、このドラマに対する私の思うことである。結果、この主人公、風間公親に対し何一つシンクロできるものはなかった。自分の感情を人に掴み掛かるようなことで回答するような男がいるうちは戦争はなくならない。笑顔が一つもない人間から学ぶことはない(反面教師と考えればあるが・・)。とにかく、この原作者がこれで何が描きたかったのかもよくわからなかった(原作を読む気にもならんのが現実)。それをドラマに起こした君塚良一の心のありかも今ひとつわからないし、それを演じる木村拓哉も、この人物を演じていて楽しいのだろうか?私的には二度とリピートすることもないドラマだろうから、どうでも良いが、木村的にはこの役柄が今後イメージ的にはついて回るだろう。

ある意味、古くさい人間が若者たちを指導する話としては、山田太一脚本「男たちの旅路」を思い出す。だが、あれは鶴田浩二が戦争体験者であり、戦後の自由な中で育った若者たちとの対立という構図があった。そして、最後には、桃井かおりが鶴田浩二に惚れてしまうような愛情もうまく描けていた。それに対し、このドラマの指導官にはそういう魅力がない。そう、新垣結衣が彼に惚れるような展開にできるようならもう少し面白かっただろう。そして、ラスト、風間は警察学校にいても森山未來を怖がっている。この辺りの結果を映画にして描くのか?まあ、このラストには商売的なものを感じた。そして、よくわからないが、次週は特別編なるものが放送されるようだ・・。

そして、最終回、ゲストに北大路欣也を迎えるという気合いの入れよう。こういう場面で北大路はよく使われるが、本人的にはどうなのだろう。今では数少なくなった大御所的存在。しかし、彼を娘をDVから救い出す殺人犯に使うとはどうなのか?とも思う。そして、今回の謎解きも今ひとつ危うかった。全てが推測の中で行われている。それを認させるというのが風間の技なのかもしれないが、どうもしっくりこない。そして、今回一緒に捜査する新垣結衣にも、以前からの成長は見られない。サスペンスとしてはいつもながらに全然面白くない。千枚通し事件と似通った構図であるのは面白いが、全く関係ない模倣犯だったというのは、視聴者が舐められてる感じさえする。まあ、これが、風間が刑事として最後にとりあつかった事件として描かれることが重要なのか?

そして、それとパラレルに追われる、その千枚通し事件。所轄が彼を見つけ捕まえるも、彼がやったという証拠もなく、保釈になる。そして、捕まえた所轄のお巡りさんに、「警察学校では職質の仕方もちゃんと教えないのか?」と襟元掴み掛かる風間。気持ちはわかるが、こういう暴力行動を行う人間は、警官としては不適合であろう。そんな彼が教官になるなどあってはいけないことだ。

そんな彼が子供たちに剣道を教えてるわけだが、最後の言葉として「何が正しいか。何が正しくないか、自分で決めろ」という。まあ、その決めた結果が風間公親の人格なら、もう一度、風間自身がそれを見直すことが必要だと私は思う。そして、こんな人間としても刑事としても魅力ない人間が、まともな警察官を育てられるわけもない。それは、前に放送されたスペシャルを見ても私はそう思った。

そして、森山未來を追いかけていた、坂口憲二は全くの無駄使いでしたね。どうして、こういう流れになるのでしょうか?先に「映画」を考えての脚本で本筋が解決しないのは、問題外である。このドラマ制作の全てのスタッフのあり方に疑問を持ったりもする。

映画が公開されても私は映画館には行かないだろう。ビデオになったら見るかもしれない。とにかく、主人公がパワハラ男なドラマを金をかけて作るのはもうやめてほしい。こういう人格が許される社会には絶対になってほしくない。

ある意味、ラストには森山未來の気持ちにシンクロしている自分が怖くなるドラマでもあった。



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集