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「放課後カルテ(第10話)」半年間の真摯な仕事の結果が涙に変わる時

小学校の卒業式シーンというのは、なかなか涙腺崩壊を促すものである。よく考えれば、大学まで行っても、卒業式で一番覚えているのは小学校の時だったかもしれない。初めてのことだし、六年という長い年月の締めということもあるだろう。

だから、クラスの皆が、先生に一言一言書いて渡す回答用紙、それも100点をつけて!そのクラスの子どもたちの顔がめちゃくちゃ良かった。本当に最近の子役はすごいですよね、リアル感が・・。

そして、松下洸平のところにも、皆の手形を押した感謝の紙が。それを手に抱え、皆に知られないように小学校を出ていく松下。ただ、照れくさいということだろう。

彼が養護教員のはいだしょうこが戻ってくるなり、気になる子どもたちのことを話し始める。本当に、彼らのことが心配の証であり、彼が残した児童一人一人に対するファイルは、なかなか重みを持っている。はいだもそれを見て、この医師は素晴らしいと思うだろうし、自分に対しても身が引き締まる思いだっただろう。先生というのは、その労働量とともに、心を扱う商売なのだということをこのドラマをみて再認識させられた。本当にご苦労様と言いたいし、そのあたり、国の担当者はわかっているのだろうかという疑問も持った。まあ、「子ども食堂」がどんどん増えていく国です。わかってはいないでしょう。

最終回は、松下が病院を負われるきっかけとなった、塚本晋也とその息子がまた出てくる。そして、息子は診察してもわからない腹痛を持っていた。それを聞いて、松下は「身体症状症」ではないかという。メンタルな問題が、体の痛みになって出るものだという。このドラマでよく出てくる症状ではメンタルからくるものが多かったように思える。親の状況も昔と比べいろいろで、そういう子供が多いということだろう。この辺り、大人の責任であるような気がする。

母親が亡くなってその辺りが出ていると睨んだ松下は、学校の創立150年イベントで人形劇をやらせて、彼を勇気づけることにした。まずは、彼が何に悩んでいるかを明確にして、その子にあった話をして励ますことが大事ということなのだろう。なかなか心温まった。

そして、卒業式。最近のよくわからない卒業の歌ではなく、「仰げば尊し」が流れてきて、ちょっと安心した。卒業式は、やはりこれと「蛍の光」でいいのである。そこには、日本の心みたいなものが受け継がれているし、それはこのドラマのテーマにも合っているような気がする。全ては、心の触れ合いであり、他人を思いやる気持ちの問題だ。最近、それができない大人がすこぶる増えているのを危惧する私である。

松下洸平、最後まで率先して笑顔が出せるようにはなれなかったが、心が動いた分、前よりは微笑むことは増えただろう。そして、優しい心の伝え方みたいなのもわかってきたはずだ。こんな医師が小学校にいたらという仮定の話だが、こういう風に子供たちの日常に医師が触れたら、いろいろと変わるし、子供達も変わるだろうと思ったりもした。そして、松下と一緒に考え、それなりに成長した森川葵の先生も優しそうでよかったですね。

そう、全般的に優しいドラマでした。こういうドラマは良いと思いました。ここからも、多くの人に見ていただきたいと思える作品でした。ありがとうございました。

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