見出し画像

「119エマージェンシーコール(第6話)」イレギュラーが起こることを前提で行われている救急業務

前回、消防部隊での練習中に怪我をした酒井大成がジョブローテーションという名目で司令課にやってくる。最初の対応は消防の案件で、よくわかっている酒井は無事にミッションをこなす。とはいえ、周囲を見回すと、常連のイタズラ電話がかかってきたり、「この人たちは意味のないことまでこなしてる?」という疑問が湧くと同時に、司令課に不満があるのが如実にわかる。それを瀬戸康史は「慢心」と表現する。そういう意味では、酒井の演技はお見事なのだが、こういう演技は意外に簡易ではあるだろう。

そして、次に彼のところにかかってきたのは、「社長が刺された」という通報。かけてきた方も気が動転しているのだが、酒井も話しているうちに、ただ事ではないということと高圧になってくる。そこをかわって救うのが佐藤浩市。落ち着いて、相手にYesNoだけで回答できるように仕向けていく。そして、なんとか場所がわかり、警察とも連携をとり、難を逃れるが、刺された社長はなくなってしまう。ここで、すぐに酒井が反省し、佐藤に謝れるのは、それほど悪い奴ではないのはわかる。

そして、ここまでで、119にはいろんな電話がかかってきて、それをどう処理するかは、一期一会であることがわかってくる。そう、この119や110というやつは通信販売のクレイマー対応とは違うのだ。クレイマー対応はマニュアル化がある程度可能だが、この公のエマージェンシーコールは、何がかかってくるかわからない。常にイレギュラーなことが起こると考えないといけないということだ。

次にかかってきた電話は、就活生が倒れ、自分がいる場所がどこかもわからないという案件。いろんなことを聞き出すために、会話を通じて状況把握をしなければならない。ここで、「相手に寄り添う」という話が出てくる。まだ、ここで酒井はそこまでやらねばいけないのか?という意見を言う。

そして、次はクレイマーのような恋人から逃げる女子を救う物語。土地勘もあまりない女子のところにどうやって救急車を向かわせると同時に彼女をどう守るかと言う話。その時、近くにいつものデマ親父がいて救急車を呼んでいた。そこでその救急車を使って彼女を救出という話。この場合、救急というよりは、警察業務のような話だが、「命を守るためならなんでもする」というスタンスなのであろう。ある意味、ドラマは実話からヒントを得ているだろうから、こういうこともあるのだろう。

で、今回のクライマックスは、車中で子供が産まれてしまうというアクシデント。この間のAEDを使って遠隔救急を行ったのと同じように、今度はタクシー内で子供を産むという凄技。実際の映像が出てこないで、ここまでサスペンシャルにドラマを作り込んでいるのはお見事だった。その模様を見て酒井が最後に涙ぐむのは、彼の慢心が消えたというところでわかりやすい話ではあった。

とにかく、このシリーズ、現場の映像が出てこないのに、ここまで手に汗握らせるのはすごいと思う。そして、そういう業務をやっている人がいるということに、感謝という言葉しか出てこない。

今、荒れるフジテレビですが、そういう時には、駄作も生まれれば、こういう傑作も生まれるのですよね。不思議なものです。

そして、佐藤浩市、最後は自分が救急車で運ばれるのか?

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集