「初恋の悪魔」坂元裕二の刑事物だが、情報量の多さとキャラの強さで、永遠に揃わないルービックキューブみたいな…
昨年の「大豆田とわ子と三人の元夫」以来の坂元裕二脚本の連続ドラマ。舞台が警察という、彼にとっては珍しいと思ったが、そこで繰り広げられるのは、警察の中ではみ出した4人が繰り広げる、探偵もののような、変な世界。仲野太賀、林遣都、松岡茉優、柄本佑と、現在の日本エンタメ界の中でも、クセのある芝居ができる4人を集合させて、思いっきり、出鱈目な感じにセリフを喋らせるとこうなるという作品。初回から、なかなか飛ばしていて面白かった。
とはいえ、坂元脚本にしたら、基本のストーリーラインは、結構な直球勝負な感じがした。もちろん、4人のキャラが、普通には考えずらいモノで、彼ら自体が変化球だから、最後には、基本線も外れていきそうな感じというか、そこを楽しむドラマなのだろう。
まず、登場するのが、仲野太賀。テレビドラマでは、久々にみる気がした。その間に、映画などいっぱい仕事しているのだろう。日本のエンタメ界でその存在感が必要な不可欠な存在になってきている。そして、この役、警察の総務課って、本当にこういう仕事してるの?というか、彼らが現場に駆けつけることがあるのか?こういう人に注視して、ドラマに登場させること自体が、ある意味シュール。
そして、自宅待機中の刑事が、林遣都。いわゆる、彼の芝居の中で、人間性が少しイカれた方の奴が全開になっている。精神を患ってるのか?ただ、激情的に生きてないと、落ち込んでしまうから、動くのか?まあ、こういう、落ち着かない役をやらせたら絶品だ。
会計課の柄本佑は、いつもながらに、全体を俯瞰するような感じで芝居をする。まあ、若いものに負けないという自負が、芝居に見えてくるのが面白い。
で、突然出てくる、生活完全課なのに、彼らが補導する子供たちのようなスカジャンを着ている松岡茉優。先の三人と渡り合える女優という意味では、適役。しかし、何を考えてるのか全くわからない。
今回の事件は、病院の飛び降り事件が、自殺か他殺か?状況把握するときに、主役の彼らが、事件の中にアニメ的に入っていく感じは面白かった。とはいえ、事件の結末は結構凡庸。そして、彼らが捜査しているのに、ちゃんと、本部隊は、同じように犯人を捕まえる。まあ、この時間解決的なものは、脚本としてあまり重要ではないのだろう。警察の佐久間由依が、いつものスタイル良い系の格好良さではなく、モンチッチみたいな髪型で出てくるのも、結構、注目できるところ。
とにかく、この4人の不適なキャラクターを動かすことで、いろんなことができそうだ!というドラマでしかない。そういう意味で、本筋の話がそれほど秀逸なドラマになっていなくても、彼らのセリフの応酬だけ聞いていれば、十分に楽しめる。ラストクレジットにルービックキューブがデザインされているが、彼らとプラスアルファの6面が揃ったときに、何が起きるのか?というドラマなのだろう。
とにかくも、この4人の役者たち、誰が一番目立っていくのか?そんな見方をしていれば、十分楽しめてしまう。まあ、彼らをそれだけ動かすドラマの設定と演出のノリがあってのことだろう。今後が楽しみだ。
しかし、タイトルの「初恋の悪魔」というのが、全く初回の内容から見えてこないのが、また、ミステリアスですな!