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「海のはじまり(第11話)」海という子どもの心のありかを丁寧に描いたラス前の静寂

このドラマ、最近では珍しく、ワンクール12回の作りである。特別編もあったから、実質、ワンクールMAX13回の作り。脚本家とその周囲のチームが信頼されているからだろう。とはいえ、視聴率的には良いわけではない。ドラマ的にも、生方美久の作る世界は、どちらかといえば夜の10時台がよく似合うと私は思っている。

で、生方脚本は、一人一人の話をじっくり描くところがいいところである。前には、弥生が夏と別れるところも、じっくり一回の中で弥生の心の中に入り込むような形で描き切った。こういうことができるのは、キャラ設定が明確にできているからだ。色々人間関係が普通でない中で、それぞれの立場のそれぞれの心の揺れを見事に描き切っている。多分、この世界を堪能し好きな人は、人間が好きなのだと思う。

そして、今回の主眼は海である。夏と一緒に暮らすことを決めて、転校し、新しい生活が始まる。学校なんてものは、友人が海にめがけてやってくる。子供なら尚更というか、子供は異質なものに対しては触ってみようとするし、海みたいなチャーミングな子なら尚更だろう。とはいえ、最初を間違えると、それがいじめに発展することも多々ありますよね。そういう、すぐに慣れることができなかった転校生も記憶の中に結構あったりします。

で、海ちゃんが一人で家に帰って、家に誰もいないことがいかに心細いことか、実にその空気感が残酷なまでにうまく描けていた。昔は、こういうのを鍵っ子と言ったわけだが、この近辺には学童保育はないのか?生方氏がそれを知らないわけもなく、わざとそういうものは避けているのだろう。

で、ここは経堂だ。だから、桜新町が舞台の「いちばんすきな花」で出てきた美容室は、近くな訳で、ここで、今田美桜を出演させるサプライズはなかなか楽しかった。海が弥生に少し大人の体験をさせてもらった感じ。そして、やはり男手一つで娘を育てる難しさをここで見せつけられてる感じ。

で、次の日に、海は一人で小田原の図書館に行ってしまう。経堂から小田原は小田急線一本で行かれるが、結構な時間とお金がかかる。その辺の説明があまりないが、そういう細かい距離感みたいなものはわかる人だけわかればいいという感じだろうか?私的には夏が海にその辺りをどう話していたのかは気になった。でも、海に対して誰も怒らないのは、ちょっと違うかな・・。

海は、大人である。母親と一緒にいて、それがいなくなって、父親と暮らすことになったという理屈はよくわかっている。だが、なぜ、自分はその二人と一緒に暮らすことができなかったのかという問いの回答は、やはり大人にならないとわからない。今の小学校では、そんな子がいっぱいいるのだろうが、私がそのころには親がシングルということはかなりのマイノリティーだった。なぜに、時代はこうなったかは、色々考えられるのだが、こういう形で家族を語ることが多くなってしまったことは、やはり寂しい限り。

そう、ちょっと寂しい感じでラス前の回を終わったのだ。ラスト、これをどうまとめ、夏と海が未来に向いてどう歩み出すのか?その辺り、綺麗にまとめていただきたいですね。

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