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「たとえあなたを忘れても(第7話)」束の間の安らぎの後の、残酷なリセット
途中で、萩原利久が倒れて記憶を失いそうになる場面では、助かったことで、次はいつそんなことが起こるのかよ思ったら、今回のラストであった。最初の方でも同じ芝居はあったが、それなりに心を近づけた二人というシチュエーションで記憶が飛んでしまうショックは大きいだろう。だが、タイトルに「たとえあなたを忘れても」とあるように、単純にハッピーエンドとはいかないようだ。
だが、ピアノコンサートが終わって、ピアノ講師の仕事が戻ってきて、生活がまた変化し出す。そして、携帯ショップをやめるシーンの無機質さが印象に残る。ここまで非人間的な職場を描く必要があるのかとも思った。そして、上司の松井玲奈の態度もイケすかなく、彼女、よくこんな役をやるなと思っていたら、流石にこれで終わりではなかった。そして、松井がキッチンカーにやってきて、彼女がシングルマザーであり、息子のために仕事の楽しさなど関係なく働いていることがわかる。ある意味、彼女は楽しく仕事をすることなどもう否定しきってるような感じだが、今の日本には一定数、そういう人たちが澱みのようにいることは忘れてはならない。ここで、そういう問題を出すのは、記憶を失ってる人というマイノリティと共に描きたいことなのかもしれないが、少し中途半端だ。そして、堀田真由の金銭的な問題もここでは解決しておらず、ドラマはそういう社会的な問題への回答が出せずにいる感じはちょっと歯痒い。
そう、金銭的なことがあるから、萩原も徹夜で仕事をしていたりする。あと、昼間の仕事に就こうとしても記憶の問題の再発がないことが医師から証明されないとなかなか難しいのだろう。私は思うのだが、こういう、人の持ち合わせた欠陥で働ける働けないを決めるのはおかしいだろう。余命6ヶ月と言われた人が、働くことで生きがいを取り戻し病気が治ることもあると思う私だから、そんなことを言うのだが、ドラマの中で萩原が会社を落とされた時には少し腹が立った。
少しづつ、二人が前に未来に進もうとする中で、堀田の親である加藤貴子は堀田と風間俊介をくっつけようとしている。堀田もまた父親不在の家庭の娘だ。そういう欠けた家族がこのドラマでも多く語られている。昨今のドラマは全て整った家族を見つけるのが難しい気もする。そういう時代ではあるのだが、そうなら、恋の仕方はもっと自由でもいいだろうに、・・。でも、だからこそ、親はまともな家族を作って欲しいと思う。その気持ちはわかるが、そういう時代ではない気はする。
そして、風間が札幌に転勤になるという話の中で、畑芽育は風間に恋の告白をする。実るようには見えないが、萩原が記憶を失くす中で風間はどう対応するのだろうか?それによってこの恋にも奇跡が起こるかもとか思ってしまう。
優しいドラマだからこそ、残酷なシーンが辛いが、ラストには素敵な風景が見られると信じたいところだ。