「グレイトギフト(第8話)」最後まで真犯人を混沌とさせる脚本の妙
今回のドラマが終わった段階でネット内は真犯人は誰?で盛り上がっている。毎回、ラストに答えを見出しながらも、そこから真実が浮かんでこない面白さという方法論を黒岩勉はうまく使いこなしている。こういうテレビドラマの流れを作らせたら今や日本一と言ってもいいだろう。物によって、テーマ性の良し悪しや、上手い下手はあっても、彼がプロの仕事をしていることは確かだ。
そして、ネット上では、研究所のリストにあった明日海りおか、簡単に球菌を作ってしまった感じの小野花梨かみたいな推理が多いようだが、佐々木蔵之介がその人物にあった反応を見ると、そのどちらでもない気がする。まあ、その辺りは最終回を楽しみにしよう。
とはいえ、このドラマの主役は「グレイトギフト」なのだと思う。こういう、最終兵器的な球菌が本当に見つかり、自分だけのものにできれば、世の中は自分だけのものになるという錯覚が起きる。そして、人は本性を見せるというか、明らかに「幸せとはなにか?」という本質で脱線している感が出てくる。そこがこのドラマの面白さである。
前回の続きとして、波瑠がこの球菌の製作者だということがわかったが、彼女はその菌を完全に消去して退所したという説明をする。そして、その話を信じない佐々木蔵之介がいるわけだ。まあ、「ギフト」で皇帝になろうという者は「ギフト」そのものしか信じなくなり、疑わしき人間は全て消そうとする。
で、波瑠と反町隆史を消す計画をして、その代わりに球菌を作れる人間として小野花梨を使う。ここで、彼女に示されたボーナスは、数百万くらいだろう。そして、簡単にそれをこなす小野ではあるが、あまりにも簡単に作りすぎる。彼女が真犯人だからという想定もできるが、彼女がドラマの中心になってくるならもう少し描き方があるだろう。そして、このできた球菌が効果を示すかはまだ確認されていない。
その前に、筒井道隆がそれを盗んで、津田健次郎の妻の西原亜希と組んでいたりする。だいたい、筒井のように、女のために動いているような輩を仲間に入れているのはまずいですよね、津田も不倫に走ってるし、そういう輩は皆最初に殺しておくべきだったのに、自分で手を汚したくない佐々木は、みな兵隊として残しておいたのでしょうね。この辺りは戦略ミス。
そして、警察官でありながら、娘の命のために犯罪に組した尾上松也もゲスでしかない。だいたい、娘の病気を佐々木しか治せないはずはないと思うし、そのために自分も殺人をすることも厭わなくなっているのは、もう、警察官としてダメである。だが、彼は波瑠を殺そうとして、反町にギフトを打ってしまった。そして、反町が持っていた抗体を波瑠が飲ませることで命は救われる。つまり、尾上が殺さなかったことで、彼がこのヤマの証言をして警察を動かす道を残しているようにも思える。
とにかくも、後一回、「ギフト」自体は小野花梨が作ったものしか今はないわけだ。それが、どう動くのか?そして、犯人は佐々木と組して何をやろうとしているのか?佐々木蔵之介の心が一番汚れてる感じはするから、彼は殺されるか捕まるかどちらかだろう。それに導くのが真犯人とも思える。
そして、反町の未来、波瑠の未来も気になりますよね。とにかくも最終回、いろんなことがてんこ盛りで、脚本家がどういうラストを考えてこの物語を作ったかはすごく興味があるところ。とにかく期待いたしましょう!