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「フォレスト」嘘を一度つくと、他人を信じられなくなるというのは本当のこと

「人は嘘を一度つくと他人を信じられなくなる」松田美由紀がいうこのセリフがこのドラマの肝なのだろう。つまり、信頼が壊れるところから、ドラマが生まれ、どうにでも物語は書き換えられるということ。そして、それはサスペンスを作る上でのお決まり事。

原案 龍居由佳里、脚本 山岡潤平のオリジナル作品。主役に比嘉愛未と岩田剛典の美男美女を迎え、そして彼らの同棲シーンから入る。彼らには信頼があり、結婚まであと少しという風景は眩しく描かれる。それが壊れていくドラマということだ。そう、そんな愛のまやかしは現実の狂気に簡単に潰されるというドラマなのかもしれない。初動は、こういうサスペンスとしてはわかりやすく作られていた。

二人は自分たちは親がいないという嘘の中で暮らしていた。そして初回からそれが嘘なことは視聴者に開示されていく。ということで、見るものの射幸心を煽っていくわけだ。そして、比嘉の夢の中だが、比嘉の母親の松田美由紀を岩田が刺し殺すシーンが出てくる。実際は岩田は「脅迫状」のようなものを持っていくだけみたいだが(これも岩田のせいかはわからない)岩田の心は初回から狂気の中に入って行ったことは確かだ。多分、松田が作ろうとして壊れたプロジェクトに岩田の家族が絡んでいる。そこまで見るものに推理させるだけで、破滅のゴングがそこに鳴らされたことはよくわかった。

で、その比嘉にとっても岩田にとっても悪の象徴のように映る松田美由紀。俳優に復帰直後は少し硬さを感じたが、最近はなかなか堂々とした演技。この世代でこういう芝居ができる人が意外に少ないので重宝されますよね。そう、芝居の切れ味が良くなってきている。息子との共演もさせてみたいですな。

そして、そこに使える、人々たちも一癖二癖の人間ばかり。今は眉毛消してNHKで遊郭の主人もやっている水野美紀は毒を盛る話などしてますしね。あと、やはり、この間まで大河に出ていたファーストサマーウイカ。そのせいもあるのか、女優になってきましたね。彼女が比嘉と一番親しそうだから、これから一番怪しくなる感じもまたよし。

そして、岩田の母親が誰かと思ったら、黒沢あすか。まあ、こちらも癖があるタイプの配役。今後の流れはとても楽しみではある。

とにかくも二人の嘘の向こうにある恨みがどう爆発してどうドラマを動かしていくかだろう。そして、比嘉は松田の企みで次期社長に推薦されるが、それを受けた時に嫉妬も多く湧き出てくるわけで、過去と現在そして未来の妄想からも攻められるような感じになり、岩田に対しても信頼関係がなくなってくるということなのだろう。そして、岩田の復讐の矛先が比嘉になることもあり得るわけで、そういうアンバランスな状態に初回の最後に持っていく感じはなかなか上手い脚本。とにかく次回が見たくなる流れにはなっている。

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