見出し画像

「海に眠るダイヤモンド(第6話)」恋の成就と緑への憧れと半世紀前の種の開花と…。

宮本信子の今やっている事業は、端島の緑化活動からの流れなのか?この主人公の女性の生き方というのが、このドラマの大きなテーマのような気もしてきた。昨今、東京では神宮外苑や日比谷公園といった変わるはずがなかった緑地地帯を再開発する動きがあり、行政は民間企業の利益に引きずられるように、百年以上街を守ってきた木々の伐採を平気でやっているのだが、こういう姿を子供にどう説明すればいいかということを考えないのか?神宮の森は百年前に何もなかった土地に100年で大きな森にするという計画のもとに作られた森であり、もはや魂がこもっているものだ。それを破壊するという意味を考えない人の多くなったことが嘆かわしいのだが、その辺りの事象も脚本家は考えてこのドラマを描いている気もする。

そう、今回は端島の緑化の話。コンクリートで埋め立てられた島に土はなく、大きな緑化地域はないわけだ。そこで。ビルの屋上で植物を育てるというプロジェクトが開始される。とはいえ、土をどこから持ってくるか?そして、多くの使えそうな残土は酸性で植物を育てるのには向かないというような難題があるのを、成功に導く話。で、考えたのだが、長崎の街は原爆が落ちてまだ15年くらいの時期である。残土に残った放射能のことは語られないが、それは、長崎に緑が生え始めていたからだろうか…。そう、自然の力は尊いし、生き物の免疫力というのはすごいパワーだということだ。

昨今は、それを簡単に弱らせるようなビジネスばかりが目立つし、その向こうには安易な嘘ビジネスも見える。そして、放射能のことを言えば、福島の原発事故はまだ収束していない。そこが原爆とは違うところだし、そんな中でまだ原発を動かそうとしているたわけもいるわけで、世の中は本当に難しい。

で、今回はそんな緑化問題の中で、斎藤工と池田エライザの間に子供が産まれる。多分、現代の神木隆之介のルーツはここだろう。そう、この息子の息子といった感じだと思う。そこまでどう繋げるのか?

そして、土屋太鳳と清水尋也も結ばれる。島の結婚式はこういう感じでやられていたという記録や写真は残っているのかはしれないが、なかなか素敵な結婚式シーンであった。そして、ここにも土屋の被曝という影はあるわけで、この当時、さまざまに日本人はいろんな闇から抜け出そうと必死だったことがわかる。そして、それが高度成長につながるも、そういう必死さというのは、世代交代したら伝わらないということなのかもしれない・・。

もう、この端島で暮らしていた方々も数少なくなってきたところだと思う。でも、そんな暮らしもあったし、そこにいた人々が何を考えどう未来を向いていたかということが、このドラマの主題であり、それが、今の日本の閉塞感を抜け出すヒントかもしれないということなのかもしれない。だから、宮本信子が、今、何を考えているのか?というのがすごく気になる。

日記に挟まっていた種が最後に芽吹く。ここも、未来に向けての希望を表しているのだろう。そして、次回は事故があり、神木がいなくなった理由が見えてくるようだ・・。静かな中で、ちゃんと脚本が加速つけていく感じは野木さん、さすがです。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集