「新空港占拠(第9話)」前作はこの作品の予行演習だった割には、今回の仲間割れは醜い
空港の下にはエネルギー源が埋まっているというのがこのドラマの大きなオチの一つで、もう一つ大きな何かがある感じだが、どちらにしても、そのためにこういうお仕置きパニックドラマに仕立ててるのが、なかなか見ていて辛くなってきているというのが私の本音だろう。
もちろん、政治家やお金持ち、いわゆる利権者は、世の中の利益は自分のもの的な意識があるから、こういうお仕置きしていかないとならないだろうねというのはわかる気もするが、その悪い奴らを殺さずに放置するか、すべて殺してしまうかで仲間割れさせるって、面倒臭いの一言である。
前回、白石聖が内通者であることがわかり、「獣」のメンバーの全員が視聴者に公開された形だったが、彼女は誰かと思ったら平山祐介の義理の妹という設定。そして、今回、高橋メアリージュンと宮本茉由は、30年前に談合告発していた櫻井翔の消えた兄の双子の娘だったということもわかる。で、今更ながら、櫻井の姉の奥貫薫は手塚とおるの秘書だったということもわかる。みな、この空港ができる発端に関係していた家族みたいな繋がりが、ここにきてわかると、面白さが半減する感じがある。
利権に虐げられたいろんな人々がいて、その怨恨が一気に噴き出すようなものを期待していただけに、そんな親族繋がり必要か?と思ってしまう。そう考えると、確かに医者としての比嘉愛未に自分の親族の命を救ってもらえなかったジェシーが一番アウトロー的には感じるが、その話を空港の話と一緒にしていいのか?とも思うし、色々と視聴者は振り舞わされてるだけ。
確かに親族の命を取られたものたちが、人質の空港関係者を全部殺めてしまえという思想になるのはわからないでもないが、結果的には怨恨の復讐はその本人に特別な達成感は与えても未来は与えないものである。そういう細かい犯罪の理由や、その後の犯人の意識的なものは、このドラマでは特別に扱ってはいないし、どうでもいいことなのはわかっている。そういう見方をするからつまらないのだろうね。
そして、白石が内通者とわかり、ある意味、もう一つ存在感というか正義の砦の形が失われたこの事件の本部も、最後には犯人に振り回されているだけ。今回はソニンの力強さもあまり見られないし、櫻井翔もまあ、ヘッドホン爆弾に慄いてはいたが、あまり危険な目に遭っていない。全体的に、二度目の同様な事件で1回目の経験が生かされていないようにも見える。
まあ、次が最終回だが、平和ボケした日本人を目覚めさせる感じには仕上がっていないのは残念ですよね。そして、どんな形で事件が解決しようと、ドラマ全体の構造はあまり感心できないままに終わりそうではある。やはり、2匹目のどじょうというものを狙うのは難しいのだ。