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「未来への10カウント(第8話)」人生とボクシングという競技の合致点みたいなものをもっとしっかり描いて欲しかった
ボクシングは、殴られダウンされたら負けである。もちろん、判定負けという世界もある。攻撃と防御を巧みに混ぜながら、相手を倒す競技である。その限られた競技時間に、多分、闘っている者は人生を重ね合わせるのだと思う。それは、他の競技も同じだろうが、ボクシングという個人スポーツは、モロに自分の生きる姿勢を見せるものでもあると私は思う。
多分、このドラマは、青春ドラマとして学園を舞台に描きたかったのだと思う。とはいえ、村上虹郎をリングに上げることなく、試合ができない身体にするような状況を作るのは、ドラマとしてダメすぎると思う。
まあ、主役は木村拓哉であり、彼自身が網膜剥離でボクシングができなくなったということとシンクロさせるために、村上の頭に爆弾を仕掛けたのだろう。そして、今回のメインになる、木村が村上に送ったエールは力強く、なかなか画にはなっていた。でも、その後に髙橋海人とのシーンを挟んだりしていて、今ひとつそのメインのシーンをドラマの中でうまく使っていないという感じでもある。多分、このドラマのフワフワ感は、投じた命題に対して、ストレートの拳のように反応が帰ってこないことのような気がする。ラストのB'zの主題歌のリズムにドラマのリズムが全くあっていない。
そして、木村は、焼き鳥屋の再建という話にぐらつくのはわかるが、ボクシングも非常勤講師もみんな抱え込むみたいな感じになるのは、決断とは言えないと思う。そう、木村の中での葛藤がちゃんと描かれていないからこんな感じになる。来週で終わりのようだが、どうも、そのラストに勢いづけていく感じもない。全ては、脚本家がボクシングを愛していないように感じるせいではないかと私は思う。ダウンしても立ち上がるようなものを書けない感じがするのだ。
木村を中心に描くことには何ら問題ないが、ラストに向けてボクシング部員たちが特に上達してるようにも見えないし、確実に見えるライバルがいるのに、その研究シーンも出てこない。脚本家は、スポーツに興味があるのか?
そういう意味では、木村と満島の恋模様は結構ちゃんと書けている感じではあるのだ。でも、それにしても、木村自身が少しづつ満島が気になって、信頼を寄せるようなドラマがあったかと言ったら、そうでもないのだ。内田有紀が酔っ払って自我を無くすのも今ひとつよくわからない。彼女の使い方も今ひとつうまくない。内田もまた、木村が気になってくるようにできなかったのか?
どちらにしても、来週は最終回。木村は、過労で倒れるということか?ラスト前で結局のところ、いろんなところに足突っ込んで、自己のアイデンティティの回復に失敗しているヒーローに見えてしまうのは、残念な感じではある。