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良い教師の定義が変わったお話し。

こんにちは。ケイコです。

みなさんは、『良い先生』というとどんな先生が思い浮かびますか?

自分の気持ちに寄り添ってくれる先生。
話をよく聞いてくれる先生。
授業が上手い先生。

色々ありますよね。

この先生は、私が中学1年生の時の社会の先生でした。

この先生を一言で表すなら、
「現実をありのまま教えようと人生をかけてくれた先生。」

人間として良いとか、悪いとかは、教師にはあんまり関係がないかもなぁ・・と、それまでの先生の価値観を見事に覆してくれた教師ですね。

その先生の授業は、一風変わっていました。

例えば、学校の授業です。

学校のテスト勉強について。


「学校の授業の中で教えることは、「賢い愚か者」を作るための学びです。」
と言い放ちます。

え?先生がそんなこと言って良いのか?

社会が求めているのは、政治家や企業家が、こうあって欲しいと思うことを「考えずに、完璧にできる能力のある人材」が必要なのです。

だから、勉強せずにグレても社会迷惑にならなければ、そういった人の思うつぼです。
だましやすいバカが増えたと、喜ばれるだけです。
その後、生きていくために手に職をつけてくれれば、それが国のために利用できますからね。

なんとシュールな授業でしょう・・・

私は、父親のDVと、母親の無関心に悩んでいましたから、この言葉は胸に突き刺さりました。

環境に負けて、今度は誰かのコマになるなんて絶対嫌だ!

と思わせてくれたのです。


また他の授業では、
新聞や、コマーシャルを信じるのは愚かだよ。新聞はスポンサーの良いようにしか書いていない。
世の中に毎日いろんな事件があるのに、一つの事件だけが全ての新聞や、テレビで騒がれる理由について考えなさい。

全てのことに、誰かの思惑があるのです。

知らなくても良いけれど、盲信するのは愚かです。

誰かがこれをあおって、何かを推進したいのだなぁ。
ぐらいに考えておきなさい。

こんな感じです。


ノートの取り方についても、

ただノートに書けば良いってものではない。
ノートの構成が大切です。

頭の中が整理しやすいように、余白をたっぷりとってノートを整理しなさい。
ノートが整理されていれば、頭も整理されています。

と、今でいうマインドマップのような書き方や、雑誌の記事のような書き方を教えてくれました。


もう40年近くの前の話なのに、その先生の授業は鮮明に覚えています。


その先生は、1学年30クラスもあるようなマンモス校の学年主任のベテラン先生でもありました。


修学旅行の積み立てを管理していたのですが、何か(忘れてしまいました)の理由で着服してしまったのだそうです。

すぐに返すつもりが、見つかってしまった。

普通は、何も言わずに退職となり、他の先生から噂を聞く形になったと思うのです。

ですが、その先生は違いました。

全体朝礼の時に、全校生徒(3000人以上!)の前で、「いつ、どんな気持ちで、どういう状況で、着服をして、これから自首をして、拘置所に入って警察の取調べを受けて、裁判を受けて、刑務所に入ります。」という話をしてくれたのです。

その理由は、ニュースで見て知るのではなく、一人の過ちの謝罪をそのまま聞いて、生徒自身に考えてこれからの人生に役立てて欲しい。という理由からでした。

親たちは、怒り心頭で「とんでもない先生がいたものだ!」と、殴り込みにでも行きそうな勢いだったのですが、私は「あっぱれな教師だな。」と思ったのです。

人生が教師魂に溢れているというか・・・。

私は一年だけしか授業を受けられませんでしたが、もっと受けたいと思ったのです。

それからは、良い先生の定義が変わりました。

「生徒のことを、一番に考えてくれる先生。」

それだけになりました。

性格が良くても、良くなくても、優しくても優しくなくても、その先生なりに一番い考えてくれているのなら、親の評価なんて的外れなもんだ。

そう思うようになったのです。

ま、今私が親な訳ですが・・・。

そんなこともあり、息子が「まぁ良い先生だよ。」と言っている限りは、私から見れば、要領の悪い先生だな。と思うことがあっても、「要領が悪いからこそ子どもの成長に良いのかもしれない。」と思うようにしています。

社会には、聖人君子ばかりいるわけではありません。
社会に出るためには、いろんな先生もいて、いろんな形の教えを受けるのもまた勉強だな・・と思うのでした。

ちなみに、人権無視な先生は問題外ですが。


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