自己紹介だけで生きる。
私自身が経験してきた多くのチームとその特徴から感じた自己紹介(コミュニケーション能力)のスポーツ界における大切にさについて少し書きます。
まずコミュニケーションという単語の意味から。
コミュニケーション
気持・意見などを、言葉などを通じて相手に伝えること。通じ合い。
Google大先生参照
コミュニケーションの成立は、そのための適切な発信行動が取られたというだけではなく、受け手が適切なシグナル・媒体に注意を向け情報を受信した上で、さらに的確な理解をしているかどうか、という点にもかかっている。
ウィキペディア参照
とあり、私の中でのコミュニケーションという単語に対しての解釈とは少し違いました。
自分の経験の中でこのコミュニケーションについてどう成長してきたかをお話しします。
・5歳から18歳 (聞く)
小学生から高校卒業するまでは、基本的には父が経営する、阿見アスリートクラブで育ちました。
このチームの特徴として、先輩後輩関係なく、和気藹々としていて上下関係が良くも悪くもほとんどありません。全員がリラックスした中でトレーニングをしています。
その雰囲気の中、リスペクトできる存在や負けたくないライバルが同じ場所でトレーニングをしている。素直に相手を認め、色々な選手、競技から吸収するという能力が磨かれていた時間だったと思います。
色々な指導者とも接する機会が多く、父を始め、現大東文化大学スカウティングコーチをされている安田 亘 氏に指導をしていただいたり、東京国際大学駅伝部の松村コーチにもコーチングをしていただいたりしていました。
その頃は一生懸命出されたメニューをこなす日々や、きついメニューの日はただただ、嫌で投げ出してしまうメニューも多かったです。
私が指導されてきた指導者の方々はほとんどの人がお話しするのが大好きでした。
そのおかげでコミュニケーションを取り続けることを怠らずに済んだので、高校に入った頃には、設定タイム、今日の練習の出来よりも、会話の中で練習の意味だったり、指導者の思いや経験などを感じる事を自分の中で重視し、聞く事を大切にするようになりました。
それを続けてから、きつい練習もそれだけで終わらずに、精神的にも身体的にも追い込まれている、その時の自分と対話できるいい機会になっていきました。
しかしその頃の自分は、まだ自分の中で考えを整理してからアウトプットする事が苦手でした。自分の気持ちを外に出すって、とても恥ずかしかったからです。
そんな時、東洋大牛久での3年間では仲間に恵まれ、多くの指導者から色々な情報を聞いて来ては部活の時間に友達、後輩、マネージャーに偉そうに長々と話をしていました。そんな私の話を、永遠と聞いてくれた自分をさらけ出しやすい仲間のおかげで、「自分について話す事」をするようになり、大きく成長させてもらいました。
18から24歳 (話す)
高校から実業団に入り、当時は高卒は自分だけ、一番近い年齢でも4つ歳上の選手、最初は年上ばかりで怖かったですが、先輩が大好きな自分の性格も功を奏して、いっぱい会話し、吸収する毎日にすることができました。
実業団チームの特徴として、大学と大きく違うと感じたのは
全員が一度成功体験を持っている選手の集団。
が故に、ここからさらにコミュニケーション能力が必要になってきました。
実業団チームは人数が少ない分、指導者の考える練習の流れや考えを聞いているだけでは、限界があります。
駅伝でいえば、
箱根はだいたい50~100人の部員から10区間。占める割合は20~10%
ニューイヤーは多くて15人の部員から7区間で、50~60%
の選手が高いパフォーマンスを発揮しなければなりません。
箱根のスターたちが集う実業団ですから、この人数だけの計算で全て判断するのは無理があるにしても、今までの自分をどう理解していたか、そしてどう実業団スタッフに伝えていくかの能力が今まで以上に不可欠になってくるのだろうと感じていました。
その中、紛れて埋もれてしまわないように自分も周りに自分という人間を知ってもらうために、一生懸命自分について話しました。
先ほども書いた通り、実業団にいる選手は少なからず一度成功体験を持っているはずです。そんな自分を理解せず、伝えることもせず、ただ環境と指導者が変わっただけでは意見が食い違うのは当たり前、すぐに指導者を信用できなくなり負の連鎖に陥ってしまいます。
そんなことになる前に、なってからでもしっかり自己紹介を詳しく伝えていくチカラ。
選手自身が生き残っていくためにもとても必要な能力だと思います。
ただ、このころの自分はまだ、自分の思っていることを全て話してぶつける事がコミュニケーションと思っていました。
24歳から今(伝える)
実業団を退社して、アメリカに渡った私でしたが、ここでも必要なのはコミュニケーション。当時の自分はオリンピックメダリストの練習をして、強くなってやる!と意気込んではいましたが、英語が十分にできない自分の未熟さでコミュニケーションという点では話すだけで密に深いところまで伝える事ができていなかったのだろうと振り返ります。
結局どのカテゴリでも大切なのは自分をどう伝えるのか、理解し合うのか。アメリカのコーチも一番重点をおいていることでした。
少し苦労した2年間でしたが、改めて世界レベルで求められていることが自己紹介能力だった事を確信できた収穫は大きかったです。
今、自分が所属も種目も性別も関係のないチームに環境を置いてみて、
私が一番充実していると感じるのは、コミュニケーションという点。
以心伝心とまでは言いません。(それを言い出したらちょっと気持ち悪い)
いい練習ができたことよりも、何よりも自分が追求したいこと、目的、目標、伝えたことに対して、時間も労力もかけて作業をしてくれる。応えようとしてくれるコーチの存在です。
伝え合う事を大切にしている人。ずっと求めていたものでした。
悩むこともありますが、
それを無視して放置するのはだめ。
自分で考えて勝手に判断するのもナンセンス。
ただぶつけてスッキリするのもアウト。
相手に伝わる努力をした上で「話す」ではなく「伝える」意識を持つこと。
今はこれを日々意識しているつもりです。
これから
実際こんな能力は、必要ない!自分は自分!と、思っていた時代がありました。
しかも結構最近まで。笑
もともと人と話したり自分について考えたりすることが好きだったのでそういう時間を意識せずにも作っていましたが、若さで調子がいつも良かった頃と少し感覚に差が出始めてきた今、人の力を借りることも重要で、この昔から培うことのできていた能力がどれだけ大事だったかを痛感しています。
まあ若くて勢いのある頃からこんなことばかり考える必要もないと思います。笑
まだまだ発展途上、自分も進化するのは当たり前ですが、ラッキーなことに今の私がいる環境は子供たちや若い選手たちに重要さを伝えることのできるとてもいい環境に身を置くことができています。
だからこそ、しっかりと大事だと思えた自己を紹介する能力を若い世代に伝え、共に成長させる事ができたらこんなに幸せなことはありません。
だからこれからは
だらだら長く伝えるのではなく、伝わりやすいパワーのある言葉で伝えることのできるようになる。
という決意を今回は、だらだらと長く伝えてしまいました。笑
それではまた次回。
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