世界の民謡〈4〉オールド・ラング・サイン
今日は、曲のタイトルで『蛍の光』を思い出した人もいるだろう。
スコットランド民謡の『オールド・ラング・サイン』であるが、これは英語ではなく、スコットランド語である。
英語で表記するなら『old long since』である。日本語でいうならば、「過ぎ去った昔」といったところだろうか。
スコットランド語では、次の歌詞の中にも「オールド・ラング・サイン」に当たる表記があるので、探してみてほしい。
また、メロディーの音を文字化したので、照らし合わせてスコットランド語で歌ってみても良いだろう。
①Should auld acquaintance be forgot, and never brought to mind ?
【ドファーファファーラーソーファソ/ラファファラドレー】
②Should auld acquaintance be forgot, and days of auld lang syne ?
【レドーララーファソーファソ/ラファーレレドファー】
③For auld lang syne, my dear, for auld lang syne,
【レドーララーファソーファソ/レドーララドレー】
④we'll tak a cup o' kindness yet, for auld lang syne.
【レドーララーファソーファソ/ラファーレレドファー】
以上である。
①②の歌詞の中にある「auld acquaintance」というのは、旧知の仲とか旧友という意味である。
旧友と過ごした日々を誰が忘れようか(いや、忘れるわけがない)といった感じの歌なのだが、実は、イギリスやアメリカでは、新年を迎えたときに歌われる。
欧米では、昔の友人と新年のお祝いをする(=つまり、帰省して同郷の友人と再会する)ときの定番ソングのようである。
中国や日本では、卒業式のときに歌われることがかつては多かった。(『仰げば尊し』も同じくらい歌われたと思う)
日本では、紅白歌合戦の締めくくりにも、出演した歌手が全員で歌うことが定番だが、このあたりが欧米とはズレている。
なぜズレているのかというと、「年が明ける」ことに掛けているからである。
『蛍の光』の1番の歌詞は、「あーけーてぞー今朝ーはわかーれゆーくー」で終わるのだが、これは「夜が明ける」と「杉の戸を開ける」を掛けている。
「蛍の光、窓の雪」は、中国の故事「蛍雪の功」からきているのだが、夜にそれらを明かり代わりにして勉強してきた(=歌詞では「ふみ読む月日重ねつつ」)仲間と、卒業式を迎えた朝は、校舎の体育館の扉(=当時は杉の木でできていた)を開けて別れるのだというイメージになっている。
それが、1年が終わって(今年はもう)お別れになるが、新しい年がそろそろ明けますよというタイミングで歌うのも、日本語の歌詞に限っては、うまくマッチしているわけである。
ただ、『蛍の光』の歌が作られたときの歌詞が、実は4番まであることを、今の私たちはほとんど学校で教えられていない。
ネットで調べればすぐに分かるが、4番の歌い出し部分は、ロシアが聞いたら怒るだろう。
本来は軍歌だったのである。