現代版・徒然草【10】(第212段・月)

今日も、漢字1字でサクッと紹介しよう。「月」がテーマである。

たった2文で書かれた第212段の文章であるが、原文をみてみよう。

秋の月は、限りなくめでたきものなり。いつとても月はかくこそあれとて、思ひ分かざらん人は、無下(むげ)に心うかるべき事なり。

最初の文は、どなたでもお分かりだろう。

秋の月は、限りなくめでたいものだと。その通りであり、中秋の名月は、今でも親しまれている。

その後の文章であるが、「どんなときでも月はこういうものだ」と、せっかくのワクワクムードに水を差す人がいるようである。

感動的な思いを分かち合わない人は、どうしようもなく情けないことだと言っている。

この文章は短すぎるので、古文が苦手な人は読みやすくて助かるかもしれないが、できれば、もう少し秋の月の良さについて説明してもよかったと、個人的に思う。

ところで、ちょうど1週間前の木曜日は、今年最後の満月だったことを知っている人はいるだろうか。

冬の月は、秋の月と比べて、白っぽく見えて、寒々とした印象を与える。だが、一方で、どこか凛とした趣も感じられ、なんとなく背筋がピンと伸びるような改まった気持ちになる。

私も、兼好法師の真似をして、冬の月について2文でまとめてみた。

兼好法師が書き残したように、皆さんも、どこかに手書きで随筆作品をノートに書きためておくと、何百年後かに発見されるかもしれない。

そのときは、人間は月に住んでいるのだろうか。



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