世界の民謡〈9〉かすみか雲か

フランス→スイス→ロシアときて、今日はドイツである。

『かすみか雲か』という歌は、ドイツの民謡では『春の訪れ』というタイトルだった。

この歌は、明治時代の1883年に、文部省唱歌としてドイツから輸入された曲に日本向けの歌詞が付けられた。

【1番】
かすみか雲か    はた雪か
とばかり匂う    その花ざかり
百鳥(ももどり)さえも    歌うなり
【2番】
かすみは花を    へだつれど
隔てぬ友と    来て見るばかり
うれしき事は    世にもなし
【3番】 
かすみてそれと    見えねども
鳴くウグイスに    さそわれつつも
いつしか来ぬる    花のかげ

以上である。

原曲のドイツ語の歌詞は、次のとおりである。

【1番】
Alle Vögel sind schon da, alle Vögel, alle. 
Welch ein Singen, Musiziern, Pfeifen, Zwitschern, Tiriliern! 
Frühling will nun einmarschiern, kommt mit Sang und Schalle. 
【2番】
Wie sie alle lustig sind, flink und froh sich regen!
Amsel, Drossel, Fink und Star und die ganze Vogelschar wünschen dir ein frohes Jahr, lauter Heil und Segen. 
【3番】
Was sie uns verkünden nun, nehmen wir zu Herzen: 
Wir auch wollen lustig sein, lustig wie die Vögelein, hier und dort, feldaus, feldein, singen, springen, scherzen.

日本語の歌詞は、ドイツ語の歌詞とは違うが、桜の花の遠景と、その美しい風景から込み上げてくる思いを歌っている。

ただ、学校で習った歌詞とは違うという人もいるだろう。

それは、戦後、明治時代に作られた歌詞が大きく書き換えられたからである。

今の私たちには、次の歌詞が馴染み深いのではないだろうか。(1番だけ示しておく)

【1番】
かすみか雲か    ほのぼのと
野山をそめる    その花ざかり
桜よ桜    春の花

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