初乗り運賃だけで済んだ
先日の東京出張で、タクシーを使ったのだが、昨年の11月から東京のタクシー初乗り運賃は、410円から500円に値上げされた。
そのことも踏まえた上で、必要に迫られて、だいたい3000円くらいの支払いになるだろうと見込んで、タクシーに乗ることにした。
ちょうど春休みだったので(今もまだ終わっていないが)、家族連れでにぎわうところはまずつかまらないだろうと予想して、その駅より2駅ほど手前の駅で電車を降りた。
そこは、駅前ロータリーにタクシーが数台常駐しているはずだという見込みどおり、2台のタクシーが停まっていた。
また、私以外に、利用客はいないようだった。
最近は、コマーシャルでも流れているように、タクシーゴーアプリがあるのだが、あえてアプリを使わず、これまでの経験をもとに賭けに出てみたのである。
2台のうちの1台は個人タクシーのようだった。
運転手さんは、私の存在に気づいていないようで、車内で下を向いてスマホをいじっていた。
助手席の窓ガラスをコンコンと叩き、乗ってよいかどうか、指で輪っかを作ってOKサインを見せると、相手は快く後部座席のドアを開けてくれた。
車内で行き先を告げ、今日は、ちょっとタクシーがつかまりそうにないので、この駅から乗った旨を話すと、運転手さんは「ああ、そうですか。」と応じ、「暑かったり寒かったりしたら遠慮なく言ってくださいね。」と付け加えた。
車内は、特に暑くも寒くもなかったので、ほとんど気にならなかった。
20分近く走ったところで、目的地である建物が見えたので、そこの門の前で停めてもらった。さて、3000円でいいかなと千円札を財布から出そうとする前に、運転手さんから声がかかった。
「お客さん、代金は500円でいいですよ。」
「あ、そうですか。」と、思わず拍子抜けしたが、それと同時に、いいのかなという気持ちもあったが、ありがたく500円玉1枚を渡した。
レシートももらったが、本当に500円で記載されていて、割引表示もなかった。
こんなこともあるんだと、偶然の幸運にびっくりした。
値切れ値切れと言うセコい人もいるが、やはり人間、人柄なのだろうか。