法の下に生きる人間〈第25日〉
昨日の記事では、「ふるさと納税」収入ランキングと、流出した税収ランキングを紹介した。
自分の居住自治体は大丈夫だろうかと、不安になった方もいるだろう。
横浜市、名古屋市、大阪市、川崎市は、実は政令指定都市である。
それゆえ、流出額が大きくても、実は、国から流出額の75%が補填されることになっている。
つまり、実際の損失額は、流出額の4分の1ほどである。
だが、泉佐野市や世田谷区は、税収減でも国からの補填はない。泉佐野市は、ふるさと納税で収入があるからよいが、世田谷区はふるさと納税の収入はそんなにない。
だから、世田谷区の財政はピンチなのである。
ふるさと納税の返礼品は、地元の特産品である必要はない。泉佐野市は、Amazonギフト券も返礼品として提供していたので、国から問題視された。
だが、大幅な税収減となっても、ふるさと納税で取り返している自治体もある。
それは、どこかご存じだろうか。
税収減が全国2位の名古屋市である。
名古屋市は、ふるさと納税の収入ランキングは、実は全国14位である。
泉佐野市の137億円にはかなわないが、63億円の収入を得たのである。
名古屋市は、流出した税収が160億円近くだったが、そのうち120億円は国から地方交付税で補填され、実質的な損失額は40億円である。
だが、ふるさと納税の収入が60億円以上あるので、黒字なのである。
そういった努力は、どこの自治体もやっているのだが、やはりブランドがある自治体は強い。
名古屋は、歴史もグルメもトップクラスなのは間違いないだろう。
しかし、注目すべきは、泉佐野市の戦略である。
政令指定都市でもなく、何らかの強力なブランドもない自治体が、なぜここまで「納税者」の心をつかめるのだろうか。
そして、私たちは、これからもこの制度を利用し続けていくのだろうか。
競争に負けた自治体が、それこそ過疎自治体であれば、世田谷区以上に悲惨な状況である。
地方創生の一環で創設した「ふるさと納税」制度ではあるが、こんなことなら道州制の実現を目指したほうが、ある自治体が財政危機に陥っても広域支援で助け合えるし、醜い競争などする必要はないのである。
対岸の火事として、のんびり構えていると、いつかは自分の居住自治体が窮地に陥るかもしれない。
そんなわけで、私は、今年も満額、住民税を払い続けている。