唱歌の架け橋(第24回)

ゆかいな動物たちが描かれているもうひとつの童謡を、今日は紹介しよう。

『わらいかわせみに話すなよ』である。

実は、おとといの『ちいさい秋みつけた』も、昨日の『かわいいかくれんぼ』も、今日の『わらいかわせみに話すなよ』も、作曲したのは、中田喜直(なかだ・よしなお)である。

まずは、サトウハチローの作詞を見てみよう。

【1番】
たぬきのね    たぬきのね    坊やがね
おなかに    しもやけ    できたとさ
わらいかわせみに    話すなよ
ケララ    ケラケラ    ケケラケラ
とうるさいぞ
【2番】
キリンのね    キリンのね    おばさんがね
おのどにしっぷを    してるとさ
わらいかわせみに    話すなよ
ケララ    ケラケラ    ケケラケラ
とうるさいぞ
【3番】
ゾウさんのね    ゾウさんのね    おじさんがね
はなかぜ用心に    筒はめた
わらいかわせみに    話すなよ
ケララ    ケラケラ    ケケラケラ
とうるさいぞ

以上である。

タヌキとキリンとゾウのほか、カワセミが登場するのだが、思わずクスッと笑ってしまう「恥ずかしいこと」を、笑い声がうるさいカワセミに話すなよという内容である。

この歌で、幼少期にカワセミという鳥の名前や、その鳴き声を初めて知った人も多いのではないだろうか。

そして、冒頭でも述べたとおり、サトウハチローと中田喜直のコンビによる3曲の童謡を聴き比べてみてほしい。

曲の旋律も、3曲それぞれユニークなことに気づくだろう。

中田喜直は、サトウハチローより20才も年下だが、サトウハチローが1973年に70才で亡くなったあと、1979年から2000年まで「日本童謡協会」の会長を務めていた。

サトウハチロー自身も、1969年から亡くなるまでの5年間、日本童謡協会の会長だった。

中田喜直も、サトウハチローと同じで、2000年に76才で亡くなるまで会長を続けていた。

この2人の尽力によって、戦後の童謡教育が子どもたちの豊かな感性を養うことに貢献できたと言っても過言ではないだろう。

私も、その恩恵を受けた子どもだったことは確かである。

明日は、サトウハチロー特集の最終日であるが、紹介する歌は、曲が先に作られて後から歌詞が付けられたものである。

童謡ではなく、当時ヒットした歌謡曲である。

さて何の曲かお分かりだろうか。

ヒントは、1968年である。

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