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青山の阿弥陀さま

関東平野はただただ広くて山がないと思っていましたが、
愛宕山、城山、青山など、縄文海進の頃には
岬や入り江だった場所が小高い山となって、
実は山あり谷ありの地形なのです。

でも、そんな30mぐらいの高さの山は、
高層ビルが立ち並んだ今となっては
その存在を意識するのは難しいかもしれません。

南青山の根津美術館横の西麻布へつながる坂道。

南青山にある根津美術館もそんな山の上にあって、
崖の斜面を利用した素敵なお庭があります。

根津美術館庭園。
木々の向こうに南青山7丁目付近のビルが見えます。

根津美術館では今『阿弥陀如来 浄土への憧れ』という展覧会をしていますので、見に行って来ました。

数年前に改築されてできたエントランスの竹林


それにしても、根津美術館が所蔵している古美術の品々をみるといつも、
創立者の根津嘉一郎(1860~1940)の趣味がいいなぁと思います。

その物自体も素敵なのですが、仏像や茶道具をはじめ、
それが置かれている場所がそれぞれにぴったりしていて、
心地がいいのでしょう。
「あわせ」のセンスがすごく青山っぽい。

根津美術館は、東武鉄道の社長などを務めた実業家・初代根津嘉一郎(1860~1940)が蒐集した日本・東洋の古美術品コレクションを保存し、展示するためにつくられた美術館です。

根津美術館HPより


今回の阿弥陀如来の展覧会もほぼ全てが根津美術館の所蔵品で、
仏教が日本に伝わって間もない飛鳥時代から、
一般の人々に仏教が浸透して行った鎌倉・南北朝時代のものまで、
当時の人々がこれらの仏の絵を前にして感じていたことを
追体験できるものでした。


ところで、宗教の絵画や像には決まりごとがありますので、
それを知っていると見る愉しみが倍増します。

例えば、阿弥陀三尊の場合は、
ポスターにある阿弥陀三尊来迎図の形式を頼りにすると、
中央の阿弥陀如来の左右に菩薩があって
持ち物やポーズから仏さまの名前がわかります。

中心に阿弥陀如来、左脇侍に観音菩薩(右)、右脇侍に勢至菩薩(左)
往生する人の魂をのせる蓮華座を持つ観音菩薩
阿弥陀如来の「慈悲」の化身とも
静かに合掌する勢至菩薩
阿弥陀如来の「智慧」の化身とも


見終わった後、庭にでてみたら、思いがけず
そこにも阿弥陀さまがいらっしゃいました。

石は苔むしていて、木漏れ日に包まれて気持ちよさそうな
表情をしてらっしゃいます。

阿弥陀さまのお顔


日本の仏さまは、どうしてこんなに温和でいらっしゃるのだろう。
空調の効いた展示室の中ではなくて、ここ(自然の中)に居ることを
喜んでいらっしゃるみたい。

700年前からずっと、こうした道の脇にあって、
道ゆく人々を見守ってくださっていたのでしょう。
いったい何処にあったのでしょうか。。

石造阿弥陀三尊像
日本 鎌倉時代 延慶3年(1310)
右側(左脇侍)の観音菩薩さま
蓮華座を手にしています。
左側(右脇侍)の勢至菩薩さま
両手を合わせ合掌してらっしゃいます



今日は猛暑日になったそうです。
でも、土の庭の木陰は涼しくて、
初夏のキラキラした日差しも青嵐の風も
とても気持ちがよかったです。


もしかしたらコンクリートやアスファルトの場所は、
緩衝となるものがなく、猛暑になりやすいのかもしれない。


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