詩のような書き物⑨「暖かく湿り気のあるお便り」
お便りです
私からのささやかな
そうね、だいたい
1ヶ月くらいかしら
始まりはいつだって
曖昧なまま
終わりもいつだって
曖昧なまま
バトンタッチしたはずなのに
ちらと顔を出すんだもの
バトンタッチはまだなのに
ちらと顔を出すんだもの
いつでも目立ちたがり屋の
冬さんと夏さんったら
私によく似た秋さん
顔すら見たことないけどね
桜が咲きそうになったら
なるべく早く見に来てね
だってすぐに散ってしまうから
よく雨を降らせてしまうから
桜の時期はよく雨が降るでしょう?
ごめんなさいね悪気はないの
ただちょっと
寂しくなって泣いちゃうの
桜が散ったら
私も終わっちゃうから
春夏秋冬ここに極まれり
どうか、どうか
ふわりと香る私を忘れないでほしい
ときどきで良いから
私を、春を慈しんでほしい
そしたらまた来年
お便りを寄越しますね
できれば次は
湿り気のない暖かなお便りを