食品ロスからみる日本の縦社会の落とし穴
最近食品ロス問題が気になるっ!
そんな中、日経新聞のこんな記事を発見。
災害備蓄食料を大量廃棄 東北の国機関、指針なく
要約すると…
東北6県にある29の国行政機関が、更新期限を過ぎた災害用の備蓄食料や飲料水を全て廃棄していた。
2017年度は保存食1万2902個、水1万5588リットルが捨てられていた。
理由は活用指針(政府が策定)がないため。
「税金で購入しているため、賞味期限ぎりぎりまで更新しない」「一般市民に無料であげていいものなのか迷う」といった声があったという。
政府は東日本大震災を機に、災害時に行政機能を維持するため、参集要員については1週間分、その他の職員については3日分程度の物資を備蓄するとした。缶詰や、水を加えるだけで食べられるアルファ米などの備蓄が一気に進んだが、賞味期限が迫って更新する際にどうすべきかは定められていない。
というもの。
ここで私が注目したのは、この問題が起こってしまった原因が
「国の活用指針」=上からの明確な指示・指針
がなかったものによる、という点。。。
目の前に、価値あるもの(食品)がある。
しかし、このままでは 数日後には廃棄物になる。
廃棄にもコストはかかるし、食品が無駄になるの良くないことで
社会的に考えてもマイナスなのは
誰もがわかっていること。
でも、上からの指示・指針がないから
どうしていいかわからないし、
どうしようもない と 判断される。
ここで現場の思考は停止。
結果、大量廃棄。。。。
「一般市民に無料であげていいものなのか迷う」といった声があったということから分かるように
現場の人には
もったいない。廃棄されるのは良くないことだという認識はある。
だけれど、
組織の一員としての行動が問われるゆえに
価値あるものを廃棄される前に活用しよう!という
一歩進んだ行動をとるまえに
指示なしに勝手に行動できない(もしくは自分が訴えたところで…どうにもならんだろうな...)と思う。
さらに、行動をとる前に
その了承を得るために 必要とされるプロセスを考えると
大変(もしくはそんなことをしている余裕がない)ので
そのままやり過ごすという結論になる。
(この辺はあくまで私の経験に基づく想像であります..)
縦社会の場合
現場の人の行動やアイディアを評価するのは 上司 や 上の組織 である。
判断権を持たない社員の独断は基本許されない。
となると、権限を持たない社員は
思っていることはあっても 声にはしない。行動に移さない。
となることがしばしば。。。
最近、日本の縦社会の課題がいろいろ取り上げられているけれど
この例はまさに、今の縦社会の指示系統の問題点を表していると思う。
目の前に 価値あるもの 有効に活用すれば人の役に立つものがあるのに
指針が明確でないから 決断権がないから
現場は一歩踏み込んだ行動が起こせない。
自動的に現場の思考が停止してしまう状態。
現場が悪いとか指示がないのが悪いではなく
そういう縦社会のシステムの中で
上と下の指針や役割が明確化されていなかったり
現場にある程度自由な決断権が与えられていなかったりすると
課題を目の前にした当事者の 考える力、思考力 アイディアを
抑制してしまうということ。
今回は国の機関で起こった 規模の大きな問題だけど
縦社会において 現場で判断する際の 基準や指針 が
不明瞭であることや
現場の意見が責任者に伝わらないような風潮によって起こる
非生産な行動や無駄、
そしてそれを見て見ぬふりをしたり
いつまでも 非生産的な行動やしきたりを 改善せずに繰り返すということは
企業でも 多々起こっていることのように思う。
このままでは 生産性なんて上がらない。
日本は労働時間の割に生産性が低いのは
こういったことが原因のひとつだろうなあ と思った記事でした。
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