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バリ島紀行 * 厠事情 その①

バロン会議ツアーは送迎含めて4時間程と聞いていた。
事前にトイレの確認をすると、
「なくはないけれど、土地柄、衛生面はよくない」
とのこと。
まあなんとか4時間くらいなら大丈夫だろうと申し込んだ。

お祈りが終わり、そろそろ帰るのかなと思っていると、ガイドのワヤンさんが、
「彼ら(同乗していたイタリアご一家)はこれからテガラランやゴア・ガジャに行きます。あなたも一緒にどうですか。早く帰りたいなら、もう一台、車があるのでそちらへ。車に置いてある荷物はあとでホテルに届けます」
と言う。
テガラランもゴア・ガジャも既に観た場所だし、何よりトイレが心配なので、早く帰れる方を選んだ。
ここからガイドはマデさんに代わる。
こちらは日本人女性ばかりで、私と同年代か年上の方々。
すぐに帰るかと思いきや、なかなか動きがない。どうやらバロンのお祓いとお祈りは2ヵ所で行われるらしく、それが終わるまで帰れないよう。
マデさんは車を出しやすい位置に動かすと言って姿を消し、私は、初対面の人々と共に膨大な数の村人たちの中に取り残されてしまった。
一体、あとどれだけ 時間がかかるのだろう。4時間ならなんとか我慢できると思って参加したのに。すぐに帰れると思ったからワヤンさんチームから離れたのに。暑さと不安から、段々気分が悪くなってきた。でも、水も帽子も車の中。
「ところで皆さん、お手洗いは大丈夫ですか?」
と、さりげなく聞いてみると、
「はい、大丈夫ですよ」
と皆、口を揃える。
えぇーー、本当に? だって私と歳は変わらないでしょ。なのに、トイレ我慢できるなんて、嘘だ、絶対。
仕方ないので、近くにいた村の女性にトイレの場所を聞いてみた。
「お寺にはないけれど、外の学校で借りられるかも」
とのこと。
お寺の外……。
確認できる出口は100メートル程先。地面にはぎっしり人が座り込み、既にお祈りのための線香を立てている。 足の踏み場もない。


けれど、限界だった。ごっついクロックスでは線香や花を踏みつけてしまいそうなので、裸足になり、お祈りの時を待つ村人たちに頭を下げながら、私は、出口に向かった。

続く

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