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【読書ノート】『サイリウム』(『家族シアター』より)
『サイリウム』(『家族シアター』より)
辻村深月著
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ビジュアル系バンドに夢中な姉とアイドルにはまる弟が、お互いの趣味を理解できず、お互いをオタクだとして、バカにしあっている。ところが、ある出来事を通じてお互いの価値観を尊重し合うようになるという話。
物語の主題は何か、本短編集は共通して、家族がテーマ。表面上姉弟ケンカはあるのだけど、深いところでは、お互いのことを心配し合っているということ。
サイリウムというのは、ライブやイベントで使用される光る道具の一種。化学反応によって発光する照明器具。内部に2種類の異なる液体が入っており、プラスチックの容器に分離されている。折り曲げることで中の液体が混ざり、化学反応で光るというもの。
姉弟がお互いの関わり合いが、化学反応となって、関係性が変化していくということなのかと理解した。
ビジュアル系バンドも地下アイドル出身のアイドルも元は同じだろうに、批判し合う意味があまりなかったということか?。
よく、中学入試の国語の問題で使われる一冊らしい。テーマが、身近で、内容的に良いのだろうね。
子どもたちが、入試の時、よく、重松清や辻村深月をよんでいたなあと思い出した。