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【読書記録】『いつかずっと昔』(『つめたいよるに』より)

『いつかずっと昔』(『つめたいよるに』より)
江國香織著


結婚を目前に控えて、れいこは浩一と夜桜を楽しんでいた。ところが、ヘビを見つけると自分が、ヘビだった昔を思い出し、次に豚が現れると、豚だった頃を思い出す。そして、さらに昔、貝だった自分を思い出す。

大人の絵本になっている作品。

①ヘビ
1.知恵や知識の象徴とされている。特に、聖書の「善悪の知識の木」の物語では、ヘビが知識を象徴する存在として描かれている。

2. 危険や誘惑を象徴する。

②豚
1. 物質的な豊かさや贅沢を象徴する。この視点から、豚は物質的な欲望や快楽主義を示唆する。

2. 不浄の象徴とされる。宗教的な観点からは、特にユダヤ教やイスラム教では豚は食べてはいけない動物とされ、その存在は不純さを象徴している。

3. 繁栄や豊穣を象徴する。富や生活の安定を意味する。

③うば貝
1. 貝殻の中に卵を抱える特徴から、母性や保護の象徴とされる。この視点では、母親が子どもを守り育てることの重要性や、無条件の愛を示唆する。

2.時間の経過を象徴する。貝が生涯を通じて経験する変化は、人間の成長や老い、そして死についての考察を促す。

3. 内側に秘密を隠しているように見え、その存在は自己探求や内面的な深さを象徴する。

物語の主題は何か?
出逢いを通して、ひとは変化して行く。そして、過去の様々な出逢いが、今の自分を形造ると言うことなのだと理解した。

江國香織さんらしい美しいことばで綴られた物語でした。

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