【読書ノート】『月の満ち欠け』
『月の満ちかけ』
佐藤正午著
話題になっていた本を、ようやく、読むことができた。評判通り美しい物語だった。
『この世に誕生した最初の男女に、二種類の死に方を選ばせたの。ひとつは樹木のように、死んで種子を残す、自分は死んでも、子孫を残す道。もうひとつは、月のように、死んでも何回も生まれ変わる道。そういう伝説がある。』
正木瑠璃という名前の女性が、三角哲彦という恋人(不倫相手)にもう一度会いたいという想いを残して不幸な死を迎える。そして、瑠璃は三角哲彦に会うために何度も生まれ変わる。
物語の主題は何か?
生まれ変わりを通じて、時空を超えた究極の恋愛物語ということなのだろう。
物語の中で、前振り的に、『アンナ・カレーニナ』の物語が、出てきていたのだけど、正木瑠璃をアンナに見立てて、三角哲彦をヴロンスキーに見立てる。そこまで、情熱的な恋愛関係にあったのだろうか?物語の中では読み取ることができなかったように思った。
どうして、正木瑠璃は何度もうまれかわるのだろうか?三角哲彦は、正木瑠璃にとって死んからも会いたいと思わせられるほどに大きな存在だったのだろうか?
美しいポイントでは、あったのだけど、何となく引っかかってしまった。
縁のあるひとって確かにいるのでね。それが、前世の因果なのかどうかはわからないのだけど。
出逢うべきひととは、必ず出会えるし、自分が、生かされている時間に与えられている役割を全うするというのが、一生なのではないか?とか、思ったりしながら読み進めたのだった。
映画も見てみたいと思った。