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【読書ノート】『大きな星の時間』
『大きな星の時間』(『生命式』より)
村田沙耶香著
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パパに連れられて女の子は遠い国にやって来た。そこでは、誰も眠れない。そこでは、昼の時間は眩しいから部屋で過ごして、星が見える時間に人々は外に出て活動するのだという。女の子は急に寝たくなったのだけど、眠ることが出来なくて嘆く。
よくわからない世界観。
何を言いたいのか考えてみた。
眠らないことにはどんな意味があるのか?
時間の制約を超えることで、人間の存在の限界を超える可能性が考えられる。睡眠は通常、日常生活において必要不可欠な活動のはずなのだけど、睡眠を必要とせずに活動し続けることは、人間の能力の一つの拡張とも言える。
眠りが奪われたと考えると、酷い国だと思うわけで、安らぎのない、死に直結しそうな世界を思わせられる。でも、考えてみれば、今の世の中、24時間、365日フル稼働で世界は動いているわけで、人々が置かれている状況は、眠りが奪われている状況に近いものがあるのだろうなあと思ったりした。
物語の主題は何か?
ひとは永遠というものに憧れてしまうのだけど、永遠というものの先にあるものは死ということなのかもしれない。
人間の世界には必ず相反するものが存在しているわけで、善があれば悪があるように、喜びがあれば、悲しみがある、昼があれば夜がある。相反するものの間に人間の社会があるということなのだと理解した。