【読書記録】『かぜのこいびと』(『生命式』より)
『かぜのこいびと』(『生命式』より)
村田沙耶香著
風太と呼ばれるカーテンが語る奈緒子出逢いと別れ。
年頃になった奈緒子に、ユキオという恋人ができる。ある日、ユキオがカーテンの風太と浮気をしたと冗談のつもりで語ると、奈緒子は、ユキオと別れる決意をする。
何だかよくわからないので、キーワードを挙げてみる。
①「かぜのこいびと」とは?
1. 風は目に見えない存在であり、触れることはできてもその形を捉えることはできない。この特性は、愛や感情の無形さを象徴する。愛は時に捉えがたく、微妙なものであるため、風の恋人という表現は、愛の本質を象徴する。
2. 風は自由に流れ、決まった形を持たない。このことは、愛や関係性の流動性や変化を象徴する。
愛は常に変化し、形を持たないものであることを示唆し、固定されたものではなく、成長や変化を伴うものであることを表す。
3. 風は一瞬で変わり、吹き去る。この特性は、愛の儚さや一時性を象徴する。
②カーテン
1. カーテンは物理的な空間を区切り、内と外の境界を示す。これは、自己と他者、プライベートとパブリックの区別を象徴し、個人の内面世界と外部環境とを分ける。
2. カーテンは視界を遮ることで、隠された真実や秘密を象徴する。
3. カーテンを開けることや閉じることは、変化や移行のプロセスを象徴する。新しい視点を受け入れることや、過去からの脱却を意味することもあり、人生の転機や成長を表すメタファーとなる。
4. カーテンはしばしば舞台装置として使われ、現実と演技の境界を曖昧にする。これは、人生の演技や社会的な役割についての考察を促し、ひとがどのように自己を表現し、他者に見られるかについて考えさせる。
物語の主題は何か?
愛とは感覚的な体験で、風のように感じられる愛は、捉えがたく、流動的で、切ないものだったりするのだけど、愛を体験することで、自分ではない他人を受け入れることが出来てくる。そして、他人の存在を通して、自分というものを、少しずつ理解していくのだと理解した。