【独りよがりレビュー】総理の夫、のレビューだけど私の夫の話
公開初日に見に行った。
「総理の夫」
政治家として、理想の日本を作ろうと努力する妻、相馬凛子(中谷美紀)を陰で支え続ける夫、相馬日和(田中圭)の物語。
大企業、相馬グループの御曹司だけど、本人は鳥類の研究に没頭し、政界にも財界にも興味のない日和は、ひたすら凛子を愛し、励まし、妻の幸せを願い続ける人だ。
彼は、自分に鳥の研究以外、何の取柄もないことを自覚している。だけど、それについて卑屈になったりしない。妻にマウントするでもなく、妻の仕事に口を出すことも、「オレと仕事、どっちが大事」なんて言ったりもしないし、浮気もしない。彼に、ケチな「男のプライド」なんてものはない。
相馬日和ほど、男のプライドのない男を見たことがないと言いたかったが、もう一人いた。
我が夫だ。
今日は、休日出勤だった。
久しぶりの休日出勤だったけど、仕事が忙しかったころは、毎週のように休日出勤があり、残業があり、出張があった。
そんなときも、夫は、黙って家のことや子供の世話を引き受けてくれた。たまに夫がいなくて、家事や育児にキレるのは私のほうだった(今もだ……)
楽しく働いているときは、「僕はこのままでいいから、出世してもいいよ」と言い、仕事が辛くて辞めたいとぼやいたら、「辞めたらいいよ。ルミさんのことだから、また何かやりたいことを見つけて働くでしょ?」と言う。
さすがに「県外に転勤希望を出したいなあ」と言ったら「子供が大きくなるまで待って」と言われたけど、もし本当に打診されて、私に行く気があったら「いいよ」って言うんだろうなと思う。
特別何かをしてくれるわけじゃない。
記念日にプレゼントや花をくれたことも、ほとんどないし、気の利いたことを言ってくれるわけでもない。
でも、ただそこにいるだけで、心の支えになってくれている気がする。
ケンカしていても、笑っていても、関心がなくても、同じ空間にいること、いや一緒にいなくても、「いる」と知ってるだけで、足元がぐらつかないでいられる。
結局、なんだかんだと私のわがままを聞いてくれるのも、私を全面的に認めてくれるのも夫しかいないんだよな。
そんな夫から、「僕と仕事とどっちが大事か」とか「家にいて」とか「僕の方がすごい」なんて言われたことは一度もない。
田中圭とは似ても似つかないけど、少なくとも相馬日和的要素は結構あると思う。
相馬凛子のように、優しく気高い人間ならまだしも、なんで、こんなわがままで自分勝手で幼稚な私と一緒にいるんだろうか。謎だ。
結婚したばかりの若いころは「もっといい人がいたかも」なんて思ったことがなかったといえば嘘になるが、今となっては「私、良い人、つかまえてるなあ」と思う。大事にしなきゃならんのに、結構ぞんざいな扱いをしててすまんと、「総理の夫」を見て反省した。
反省したので、夫にお土産を買って帰った。
凛子の選挙のときに日和が着けていた「たすき」を模したステッカー。
いそいそと、ほぼ日手帳に挟んでた。まんざらでもなさそう。
これからも、そのたすきを体に掛けて、凛子の選挙活動を応援して回った日和のように、私を全面的に応援し続けてよ、夫。
女性として、政治家として成長する凛子のそばで、日和もまた成長し、凛子の良き理解者、人生のパートナーとして、彼女の支柱となり、家族の柱となっていく。
とてもいい物語だった。
もう一回見たい。
そういえば、結婚指輪、どこにしまったかな。たまには着けよかなあ。