医療事務のキャリアに潜む2つのハードル
【はじめに】
病院事務職の中でも医事部は医療機関の規模により外来医事部門、入院医事部門、統括部門等と同じ部署の中でも大きく3つの部門に分ける事ができます。
各部門ごとの業務内容や求められてくるスキル・知識に違いはありますが、
「医事知識」という包括的な部分に焦点を当て、各部門のキャリアを歩む中で待ち受ける2つのハードルについて書きたいと思います。
【一つめのキャリアハードル:入院医事部門への壁】
医事部の多くの人材が外来医事部門からのキャリアが大半だと思います。
医事業務の土台を学ぶ上ではスタートに適しています。
しかし、日々の業務にも慣れ次の入院医事部門へのステップを考えた時、
外来医事部門の人材の多くは大きなハードルを感じてしまうのではないでしょうか。
医療業界に入職したての頃の私自身もそうでした。
医療事務のキャリアに潜む第1のハードル。
それは「知識量」になります。
例を挙げると外来医事業務のみの経験者と入院医事業務までの経験者では以下のような違いがキャリアを歩む中で生まれると思います。
※あくまで個人の見解です
※イメージ図↓
※Twitter引用
また、私は所属長という立場上、外来医事部門から入院医事部門へ異動となる職員を多く見てきましたが、ほとんどの職員が異動を躊躇う人材ばかりでした。
その理由は、外来部門に勤務している頃に入院部門の職員の大変さ(残業が多い等)を見ていたり、入院部門の職員から「入院医事業務は大変だ」と直接聞いている事が大きな要因だと思います。
確かに入院部門の担当者からの生の声は未経験者からすると受け入れざるを得ないのかもしれません。
しかし上記のように「外来部門と入院部門では将来のキャリアに大幅な知識量の差がうまれる」というイメージを描けているのであれば、少なくとも今後の行動に大きな差がうまれると私は思います。
さらに、入院医事部門に異動となった多くの職員が口を揃えて同じことを言います。
「外来医事業務より入院医事業務は覚える量が多く難しい」
「今まで視野が狭すぎた」と。
そしてなかには
「外来医事部門へ再び異動させて欲しい」という職員もいます。
つまり、それだけ外来医事部門から入院医事部門へのハードルは高いと言えるのではないでしょうか。
また、DPC病院や診療科の多い医療機関であればさらにDPC制度に関する知識や各診療科の知識量も必然と多くなります。
以上を踏まえて、
外来医事担当者は上記事実を把握した上で今後のキャリアプランを考える必要があると思います。
【2つめのキャリアハードル:統括部門への壁】
次に統括部門に関してです。
入院医事部門の高い壁を越えた先に待ち受けるさらなる壁になります。
個人的には医事部(医療事務)の業務は統括部門までを一通り担って初めて「医事部の業務を経験した」と言えると考えています。
ここでの統括部門とは毎月の実績データ作成管理、医事に関する経営分析・データ分析、各種行政への届出や資料作成等のことを言います。
医療機関によっては経営企画部門等と重なる部分もあるかもしれません。
医療事務のキャリアに潜む第2のハードル。
それは「知識幅」になります。
この段階になると外来部門と入院部門に関する一定の知識量がなければ業務を円滑に遂行できません。
第1のハードルの前後では診療報酬等に関する医事知識があれば日々の業務はこなせますが、第2のハードルを越えるには医療制度、医療情勢、医療経営、PCスキル等の幅広い知識が必要になります。
DPC病院であれば更にDPCに関する制度等の知識も欠かせません。
特に日々医事コンピューターや電子カルテのみで業務をほぼ遂行できる外来医事部門と入院医事部門の人材の多くは、PCスキル(EXCEL・PowerPoint等)を扱う事に対して負担に思う人材が多いと感じます。
第2のハードルの段階では今までの日々の業務の知識やスキルに加えて、さらに異なる様々な知識やスキルが必要になります。
以上を踏まえたイメージとして
外来部門から、入院医事部門、統括部門に関する「知識幅」を例えると以下のような認識の差がうまれると思います
※あくまで個人の見解です。
※イメージ図↓
知識量もさることながら「知識幅」にも大きな差がうまれます。
【まとめ】
医療事務のキャリアに潜む2つのハードルは大きく分けて、入院医事部門と統括部門における知識量と知識幅。
今回は2つのハードルの越え方(学び方)には触れませんでした。
それよりもまずはハードルを越えた先の世界を少しでもイメージし認識する事が大切だと思います。
これからのキャリアを歩む中で大切な事は
広く柔軟に物事を捉え、視野を広げ、自身の在りたい姿やイメージに向かい行動すること。
つまり自分の「枠」を広げていくことです。
その「枠」を広げるためには継続的な学びは欠かせません。
自分の可能性を信じ
外来医事部門の人材は入院医事部門へ
入院医事部門の人材は統括部門へ
少しずつ自分のペースでキャリアを歩んで行きましょう。
ハードルを越えた先には
越えた人にしか分からない
素晴らしい景色が待っています。
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