ドラマ評 姫、合掌
八千草薫が亡くなった。いま放送中のやすらぎの郷〜道を、すい臓がんの療養のために降板したが、とあるイベントには出席したことが報道されており、訃報は突然だった感がある。訃報を伝えるニュースを見て、八千草が結婚していた事実を恥ずかしながら初めて知った。やすらぎの里の姫と同じようにてっきり、独身だと思い込んでいた。調べると、夫の谷口千吉監督は三度目の結婚だったようだが、50年近く連れ添ったようだ。そういえば、やすらぎの郷で、八千草薫が演じた姫は、戦前映画監督と道ならぬ恋仲だったというストーリーがあったが、リアルな話と物語を交錯させる倉本聰の見せ場の一つともいえるが。
やすらぎの郷を見ていて感じたのは、品の良さと年齢を感じさせず、流暢にセリフを喋っていたことだ。宝塚出身ということもあるが、共演の浅丘ルリ子や加賀まりこ、あるいは有馬稲子と比較すると、しゃべり、立ち振る舞いがやはり違った。いまの日本人の役者で、品よく役を演じられる女優はもうあまり出ないように感じられる。かと言って、役の幅も広かった。岸辺のアルバムのように、不倫に走る妻のほか、脇役やナレーションで、存在感のある人だった。合掌。
追記 訃報記事の関連で出てきて知ったが、やすらぎの郷に、吉岡秀隆が登場するようだ。いしだあゆみの子ども役らしい。横山めぐみや布施博と、北の国からや倉本作品の常連が出てきているので、ほかの常連が出てくるかもしれぬ。あと、柳生博も、やすらぎの刻に荒木役で登場するようだ。