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社内25人に転職者インタビューした結果、候補者体験のパターンが見えてきた

こんにちは、株式会社HERPで事業開発を担当している河井です。

久々のnote更新ですが、最近、事業開発の中で、会社の中途入社した全メンバー25人に転職活動における候補者体験インタビューをするという取り組みを行ったので、その取り組みの狙いや成果についてまとめようと思います。

実際のヒアリングデータベース。初期メンバーから最近の転職者まで全員やりました

BtoBのプロダクト開発や事業開発にご興味のある方、また採用活動における候補者体験の情報を求める方にぜひ読んでいただければと考えています!

"ユーザー企業のユーザー"=選考候補者の洞察を深めたい

HERPは主にIT・スタートアップ企業向けの採用管理システム・タレントプールシステムを提供するBtoBサービスですが、"どのようにユーザー企業の採用成果向上に寄与することができるか"ということを常に考えています。

その中の一つの重要な要素として、"どのようにユーザー企業の選考候補者の体験を良くすることができるか"という問いに直近取り組み続けています。

HERP社の採用プロセスだけでなく、転職活動全般において候補者はどのようなニーズや行動原理・感情を抱くのかについての理解をもっと深めたいと感じたことに今回の施策は端を発しています。

中途入社したメンバー全員にインタビューを実施

社内の中途で入社した全社員25名(当時)に対し、一律で同内容のインタビューを60分ずつ実施しました。

ヒアリング内容

事前に30分程度でテンプレートに則って準備をいただき、インタビュアー(私)がひたすらに深ぼっていく形式で行っています。具体的なヒアリング内容のテンプレートは下記のものでした。

# 候補者としてのご自身の転職活動に関して

## 前職に入社した背景

- いつ前職に入社しましたか
- なぜ前職に入社しましたか

## 転職の検討をし始めたきっかけ

- いつ転職を検討し始めましたか
- なぜ転職を検討し始めましたか
- まず最初に取った行動は何ですか

## 企業探しについて

- どのように企業を探しましたか
- どのような基準で企業を探しましたか
- いつ、どのようにHERPを知りましたか
- 当日質問
   - 当時、企業探しにおいて、特に助かったことやサービス、情報はありますか
   - 当時、企業探しにおいて、特に不安だったこと・困っていたことは何ですか
   - 今当時に戻るのであれば、どのように企業を探しますか

## 応募するかの意思決定について

- どのような基準で、応募する(選考を受ける)企業を選びましたか。副業や業務委託スタートの場合、どのような基準で副業や業務委託先の候補企業を選びましたか。
- なぜHERPに応募しましたか。副業や業務委託スタートの場合、なぜHERPを選びましたか。
- HERPに応募をする際、懸念はありましたか。
- (転職先の候補として)知っていたが応募しなかった企業について、なぜ応募しませんでしたか。

## 選考について(副業や業務委託スタートの場合、その業務について)

- 当時、採用選考において、その企業への入社意向や企業の魅力が上がった象徴的な出来事はありますか
- 当時、採用選考において、その企業への入社意向や企業の魅力が下がった象徴的な出来事はありますか
- 途中で選考辞退した企業がある場合、それはどのタイミングでしたか。なぜ選考辞退しましたか。
- HERPの選考を受ける中で、ポジティブな感情を持った瞬間はなにでしたか。
- HERPの選考を受ける中で、ストレスを感じた瞬間はありましたか。
- 不採用・選考/内定辞退をした企業の中で、未だに接点を持っている企業はありますか。
- 当日質問
   - 選考の中で、自分自身を多少偽らないといけない、大きく見せないといけないと感じた瞬間はありましたか
   - 選考の中で、その企業が言っていることが嘘ではないかと思ったことがありましたか

## 内定承諾について

- 他に内定していた企業があった場合、どのような比較軸で検討していましたか。意思決定までにどれくらいの時間がかかりましたか
- いつ、自分自身の中で、HERPを転職先とすることがほぼほ決まりましたか。
- なぜHERPの内定を承諾しましたか。
- HERPの内定を承諾してもなお、HERPに対する不安はありましたか。
- 当日質問
   - 『こういったインプットがあればもっと意思決定がしやすかった』と今振り返って思う情報などはありますか

## 前職からの退職について(任意)

- いつ、どのように、前職に対して退職意思を伝えましたか

## 入社からオンボーディングまで

- 正式入社日までどのような準備をしていましたか
- 正式入社後、HERPの業務に慣れたと感じるまでにどれくらいの時間がかかりましたか
- 入社後、HERPに対する印象が大きく変わりましたか。予想外なことはありましたか。

## 次回の転職について(任意)

- HERPから転職をするとしたら、どのような理由になりそうですか。
メンバーのヒアリングの議事録の一例ですが、それぞれ詳細に教えてもらいました

実施して得られた洞察

採用候補者が共通して考える良い候補者体験・悪い候補者体験のパターン(A)と、候補者によって異なるパターン(B)に関する解像度が上がりました。

A. ネガティブだと感じる候補者体験は共通性が高い

ある企業との面談や選考プロセスにおいて、候補者の志望度が下がる体験については共通項が多いという感触を得ました。たとえば下記のような体験です。

・企業からの結果連絡が遅いとその企業への志望度は下がる
・面接官が高圧的だと感じたらその後の選考プロセスに進みたいとは思わない

一つ一つについては、ユーザー企業さんからのヒアリングで得られたり、ある程度、常識的な感覚でも知っているような話なのですが、あらためて体系的なインタビューを通して共通性が見受けられたのは良い発見でした。

B. ポジティブだと感じる候補者体験は人によって異なる

逆に、「その企業への志望度が上がった」と候補者が感じる体験については候補者自身も明確なポイントを意識していない場合が多く、人によってばらついていた印象がありました。

AとBの総合して考えると、「一度でもネガティブな候補者体験を得ると、ポジティブな候補者体験がいくらあっても企業へのイメージは挽回しづらい」 = 「ネガティブな候補者体験はポジティブなそれを凌駕する」ということかなと捉えています。

社内で候補者体験インタビューをした振り返り

Good:メリット高速かつ低コストで実現できた

この施策アイディアを思いついてから実行まで2営業日、全員分実施するまで2週間で終わりました。

これはB2BのなかでもHRドメイン特有の強み・面白さかと思いますが、最終消費者である(潜在)採用候補者として全社員を活用することができるので、事業や体験仮説に関するインサイトを素早く得られるのはかなり良いなと改めて感じた次第です。

More:サンプルの偏り

スピード感とのトレードオフにはなりますが、やはりHERPという会社に入社決定した人の価値観や指向性に偏ったインサイトになるため、得られる傾向や解釈に対しては鵜呑みにしきらず、より客観的な追加インサイトを得る必要を感じました。

社内インタビューは仮説にある程度の目星をつけるために活用し、その仮説の精度を高めるために、より広範なインタビュイーに対してのインタビューや定量的なデータ活用を行うなどが、今回の取り組みをよりよく活かす方法だと思っています。

まとめ

顧客志向が強く求められる世の中であって、BtoBサービスにおいても、ユーザーの成果を最大化するためには"ユーザー企業のユーザー"、つまり今回は、転職活動をしている候補者に関するインサイトを増やす必要があるよね、という話でした。

前段にも書きましたが、特にHR・採用ドメインは身の回りの人が潜在的な最終消費者 = 候補者になるため、その人達の幸せを想像しながらサービス開発できることは、改めて恵まれているなあ~と感じた次第です。

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